Z世代ならではの“達観”力 オトナも学べるサバイブ力

若者のリアルな声を聞いていると、特に印象に残ったのが、その驚くべき「達観」力。物事を俯瞰して自分の立ち位置を理解し、行動にもつなげている。
「SHIBUYA109」前で話を聞いた、この春高校生になったばかりという都内の女子高生(15歳)は「友達とは、あまり深く関わりすぎないようにしています。自分の気持ちが負けないように、傷つかないようにする関わり方をしています」ときっぱり。
都内の大学3年生の男性(20歳)も、「基本的には、誰とでもそんなに仲良くなりすぎないようにしています。近づきすぎちゃうと、ちょっと、なんかあんまり…」と、最初から深入りは避けている。「恋愛は、逆に距離が近いって言われるんですけどね(笑)」と、素直な一面も。
「合わない人にははっきりそう言っちゃうかも」「私も、会わない人とは無理に関わろうとはしないですね」と話していたのは、20歳の女子大生2人組だ。「距離を保つ」派が多かった中で、「ストレートに言う」派も、女性たちの中には、一定数存在していた。
相反するようにも聞こえるが、人間関係で余計な労力を使って疲れたくないという心理は、共通しているようにも思える。
一方で、家族に対しては、「母親にはちゃんと毎日、嫌なことも話して、ストレスをためすぎないようにはしています」(15歳・女性)、「叱られたり、親にいろいろと言われることがあっても、自分のことを考えて言ってくれているんだなと、頭の片隅に置いて聞くようにしています」(17歳・男性)と、親子関係を大事にしている声も聞かれた。

情報化社会の中に生き、デジタルとリアルの両軸で「自己肯定感」と対峙するZ世代。一つの“メディア”を運用するような感覚で、InstagramやTikTokなどのアカウントをさらりと動かし、その中で高い言語化能力やコミュ力を、自然と身につけてきているのかもしれない。
ドラマ『シンデレラ クロゼット』(TBS系)にも、「自己肯定感」と向き合うZ世代が登場する。主人公の二人は、おしゃれな大学生活を夢見て上京してきたものの、きらきらとした都会の生活になじめずにいる春香(はるか)と、偶然出会った「女装男子」光(ひかる)。現代の若者の「等身大」を捉え、美容やファッション、恋愛や友情などを通じて、「自己肯定感」と向き合い、“自分らしさ”を探していく。
本作のような作品や、SNSやインフルエンサーからの発信でも、「自分を好きになる」ことが肯定的に語られる今の時代。Z世代の自己肯定感は、揺らぎながらも、彼らがそれを前向きに育てていこうとするマインドは、取材からも力強く感じ取れた。
自分を好きになり、ポジティブに生き抜くその術は、ミレニアル世代やさらにその上の世代にとっても、参考になりそうなものばかりだ。