県内有数の繁華街である那覇市松山。その一角にある「ビリーブ・ハウス」は去年11月に開園した夜間保育園です。

「ビリーブ・ハウス」では、生後3か月以上の乳児も預かり、働く女性を支えています。
夜の街の保育園、開園時間は午後6時。開園の約30分後…、この日最初の利用者が訪れました。

▼母親(20代・キャバクラ勤務)
「午後1時から2時まで、1時間ぐらいお昼寝しているけど、それ以外はちょこちょこ寝しかしていなくて」
出勤前の母親と生後半年の子どもです。園を利用して3か月になります。
▼母親(20代・キャバクラ勤務)
「地元は内地なので、近くに頼れる家族がいない。月齢が小さいので、預けるのも最初は戸惑ったし嫌だった」
園長を務めるのは、比嘉麻里萌さんです。旅行情報サイトを運営する企業などで働いてきましたが、去年11月、未経験の保育の世界に飛び込みました。

▼ビリーブ・ハウス 比嘉麻里萌 園長
「那覇市で(保育園での)死亡事故が起きたことがきっかけで、保育園とか一時預かり、夜間保育園がどいう場所か調べていくと、選択肢が全然なかったり、子どもたちや親があまり良い思いをしない保育園が多い現状をみて、私に何かできないかなっていうので」

▼母親(20代・キャバクラ勤務)
「預けている間に頑張ってお金を稼いで、お迎えにいって帰って子どもと笑顔で遊べるように頑張っている」
保護者が母親しかいない「ひとり親家庭」の割合が全国の約2倍、4.4%にのぼる沖縄。2児の母親でもある比嘉さんは、働きながら子どもを育てた実体験から、働く女性を支える保育園づくりを志しました。
▼ビリーブ・ハウス 比嘉麻里萌 園長
「自分の子どもの保育園選びをしていた時、昼間の選択肢は多かったけど、夜はほとんど選択肢がないのを知った」
午後9時前。2歳と7歳のきょうだいが登園しました。寝る前の時間を思い思いに過ごします。きょうだいが手にしたのは積み木。高く積み上げようと工夫をしています。園では、子どもが主体的に活動できる環境を整える「モンテッソーリ教育」に基づいた保育を行っており、子どもたちは自ら選んだおもちゃで遊びます。

午後11時過ぎ。歯磨きを済ませた子どもたちは、保育士らの読み聞かせで眠りにつき、保護者の迎えを待ちます。開園から約8か月。想定していた利用者層以外のニーズも見えてきました。
▼ビリーブ・ハウス 比嘉麻里萌 園長
「両親共に飲食店で働いている。夜勤があるから子どもを見ることができなくて預けたい方とか、子育てにちょっと疲れてしまってリフレッシュをしたいという方」
夜間保育を求めているのは、夜の街で働く女性だけではありませんでした。
子どもを育てながら働く人たちを支える夜間保育園「ビリーブハウス」の取り組みは、SDGsの目標にもつながっています。

しかし、認可外保育園の「ビリーブハウス」の経営は決して楽ではありません。
▼ビリーブ・ハウス 比嘉麻里萌 園長
「認可外保育園では行政からの補助が一切ないので、経営的に売上を作るのが難しい。金額を上げないといけなくなったら、私たちが届けたいお客様にサービスを届けることができないので、スポンサー制度を導入している」
このほか、3日だった開園日を今月から週6日に増やし、月額の料金制度も取り入れるなど、経営を安定させようと懸命です。
▼ビリーブ・ハウス 比嘉麻里萌 園長
「仕事を頑張りたいときに、子どもをここに預けてもっと残業したいとか、飲み会に行きたいでもいいですし、色んな理由で色んなお母さんたちに使ってもらえたらいいなと思う」
働く親を支え、子どもたちの健やかな成長を見守る夜間保育園。社会の多様なニーズに応える「ビリーブハウス」は、これからも温かい光を地域に灯し続けます。
