安くて美味しい食材として食卓によくのぼっているモヤシは、価格が安定していることから物価の優等生として重宝されてきましたが、ここにも値上げの波が押し寄せています。

スーパーで買い物カゴに次々と入れられるモヤシ。「物価の優等生」と表現されるほど安定した価格で販売されてきましたが、今年各メーカーは相次いで値段を引き上げました。

青森市のこちらのスーパーでは8月、人気商品の200グラム入りを3円引き上げて32円としました。

※青森市民
「前からもやしは安かったが最近はちょっと上がったって感じますね」
「上がった。前までだと1キロ98円。いま118円じゃん、上がった上がった」


モヤシの製造をしている青森県三戸町の太子食品工業です。工藤茂雄社長は今年、5年ぶりに値上げした苦しい胸の内をこう表現します。


※太子食品工業 工藤茂雄社長
「我々も優等生でいたいんですが仕入価格がどんどん上がっている中でお客さまにもご理解をいただかないと続けていけない」

値上げの大きな要因、それが原料となる種子の高騰です。なかでも需要が大きい緑豆(りょくとう)は主要な生産地の中国で生産者の減少が著しく、輸入価格はこの10年で約3倍、1トン30万円に跳ねあがりました。


※太子食品工業 工藤茂雄社長
「作付(面積)がどんどん減っていて国際的に奪い合いになっている。多分来年使うこの緑豆は従前の4倍くらいの値段になると予想しています。円も非常に安くなっていますから」

モヤシは全国の平均価格が、この30年間で2割以上下がってきました。そのなか、原材料の高騰のほかに現在の円安なども加わり、取り巻く環境は厳しさを増しています。

このため、生産者協会は11月7日、新聞に全面広告を出し、安さばかり追求しては続けられないと窮状を訴えています。

※太子食品工業 工藤茂雄社長
「原料高騰に比べれば微々たるもの、いくら努力しても。やれる努力と不可能な努力があるのでこの辺がある意味曲がり角」

値上げの波は物価の優等生モヤシにまで及び、少しずつ暮らしに影を落とし始めようとしています。
