アメリカ国務省は、イギリスでおこなわれた音楽フェスの出演中に過激な反イスラエル発言で聴衆を扇動したとして、イギリスのラップ・パンクバンドのメンバーのビザを取り消したことを明らかにしました。イギリスでは地元警察が捜査に乗り出したほか、このパフォーマンスの後も生中継を続けたBBC放送に批判が相次いでいます。

英ラップ・パンクバンド「ボブ・ヴァイラン」 ボビー・ヴァイラン
「私たちは、パレスチナの人々がイスラエル政府の抑圧から解放されて自由になる日を祈り、希望し、願わなければなりません。『パレスチナに』(観衆「自由を」)『パレスチナに」(観衆「自由を」)」

28日、イギリスで開かれた音楽フェスに出演したイギリスの2人組のラップ・パンクバンド「ボブ・ヴァイラン」。このあと、さらに聴衆を扇動して「IDF(イスラエル軍)に死を」と叫ばせたとして物議を醸しています。

地元警察が捜査に乗り出したほか、こんな余波も…

米国務省 ブルース報道官
「暴力や憎しみを賛美する外国人は、我が国が歓迎すべき訪問者ではない」

アメリカ国務省は30日、バンドのメンバーのビザを取り消すと明らかにしたのです。「ボブ・ヴァイラン」は10月下旬にアメリカツアーが予定されています。

このパフォーマンスをめぐっては、生中継を続けたBBC放送にもイギリスで批判の声が集まっていて、BBCも演奏の途中で中断すべきだったとの声明を発表しています。

イギリスのスターマー首相も「恐ろしいヘイトスピーチだ」と非難し、BBCには説明責任があるなどと指摘。また、イギリス議会でも、文化・メディア・スポーツ相が「政府は反ユダヤ主義を絶対に容認しない」と強調し、放送を即座に中断しなかったBBCの経営陣に早急な説明を求めたとして、議会への報告を約束しました。

イスラエル軍は2023年10月に起きたイスラム組織ハマスによる襲撃以降、パレスチナ自治区ガザで民間人の犠牲をいとわず攻撃を続けていて、ガザの保健当局によると、戦闘開始後のガザ側の死者は5万6000人を超えています。

「ボブ・ヴァイラン」のボーカルはSNSで、「支持」と「批判」の両方のメッセージが殺到していると明かしたうえで、自分の娘のような若い世代に対し、「変化を望み、変化を必要とする時には、はっきりと明確に正しい行動を示してみせるべきだ」などと投稿しています。