記者解説
――もともとの医局の目的は?
記者「複数の医師によりますと、県内の病院の多くは大学の医局から派遣される医師によって成り立っていると。そのため病院側は医局との関係が悪化し、医師の確保に支障が出ることを恐れて、良好な関係を維持しようとするそうです。病院から医局に対して研究費の寄付が行われるのもその一環とされます」
医療関係者に取材を進めると、医局と民間病院とのいびつな力関係や地域医療が抱える課題が見えてきました。
医局に所属する男性医師「医局に所属していると自分の判断では就職先を決められない。県内の都合や教授の意向でいろんなところに行かされる」
現在も医局に所属する男性医師は、医局にいることで大学病院や他の病院で経験を積むことができるメリットがある反面、その見返りとして“恩返し”の慣習があると話します。

医局に所属する男性医師「専門医の資格を取った後は、大学のおかげで専門医が取れたんだから、すぐやめるのではなくてずっと医局で尽くしなさいというのが一般的な習わしになっている」
この「習わし」を医師や病院が破ったことによるトラブルは、過去にもあったということです。
医局に所属する男性医師「2つの病院が教授の言うことを無視して勝手に就職させた。その時に関連病院を外されて、それまでは毎年医局員が派遣されていたのに、それがまったくなくなって大学との縁が切れてしまった」
こうした例もあり、医師や病院は教授の指示に従わざるを得ないといいます。

医局に所属する男性医師「裏切る病院もまずないし、裏切ると県内どこの病院でも働けなくなってしまう。『医局をやめたら県内で働けると思うなよ』というのが常套句」