熊本市現代美術館で開かれている、やなせたかしさんの展覧会『人生はよろこばせごっこ』。やなせさんが遺した言葉や作品など、200点を超える資料が集められています。
展覧会のテーマ「人生はよろこばせごっこ」は、やなせさんが、事あるごとに口にしていた言葉です。

『ひとは ひとを よろこばせることがいちばん うれしい』
『人生は よろこばせごっこ だよ』
やなせさんの生き方やメッセージの数々がたくさんの人を惹きつけ、幅広い世代から人気を集めています。

来場者(70代)「『てのひらを太陽に』好きなんです、あの歌。あの時代にこういう考え方ができるというのが」
来場者(20代)「ちょうど娘が2歳でアンパンマンが好きで。アンパンマンは、こうやってできたんだなって。展示の前半、弟さんのところにグサッときました。弟さんと仲がよかったんだなぁと」
兄と弟の『かなしいあそび』
やなせさんは、弟・千尋さん(当時22歳)を戦争で亡くし、生き残った自分と弟を「シーソー」に例えることがありました。
『一方があがれば一方がさがる』『かなしいあそび』としながらも、『ひとりぼっちではできないんだ』と、弟への想いを表したのです。

来場者(20代)「戦争は絶対にあってほしくない。これから先、子ども達にも絶対に経験させたくないと思う」
もう一つ、1970年代の作品を見てみましょう。
銃を持ってウサギを狩る男性が、ウサギの仲間から返り討ちにあいます。男性を撃ったウサギの目には、涙が。

こうした作風は、徴兵された やなせさんの経験が背景にあると言われています。
熊本市現代美術館 学芸員 冨澤治子さん「『それぞれの立場の正義がある』ということを考えさせられるし、弱いものが持っている『強さ』を描かれているのだと思います」

来場者(80代)「自分と時代がオーバーラップするから、見ていて、ひしひしと胸に迫ってきて。特に今は戦後80年。次の世代に伝えていかないといけないと、本当に感じる」

『なんのためにうまれて なにをしていきるのか』
その答えが、会場で見つかるかもしれません。
展覧会『人生はよろこばせごっこ』の開催は、6月30日(月)までです。