アメリカ軍がイランの核施設3か所に攻撃を行ったことで中東情勢は今後どうなっていくのか、前中東支局長の須賀川記者とお伝えします。

上村彩子キャスター:
今回の攻撃、どのようにご覧になっていますか。

前中東支局長 須賀川拓記者:
まず非常に明確なのは、アメリカとイスラエルはイランの核開発能力を完全に破壊したいというところにあります。ただ一方で、アメリカは距離を置きたかったので、主要な場所への攻撃というのはこれまで避けてきたわけです。

イスラエルはアメリカの参戦をなんとしても持ち込みたい、でもそれを何とか踏みとどまっていたアメリカが今回踏み込んでしまった、この重要度ですね。

攻撃された場所がどういった場所かというと核関連施設なんです。特にフォルドゥという場所はウランの濃縮施設で、その中でも高濃度のウランを濃縮する場所です。核開発の上で、核兵器を保有する上で一番大事なのが核燃料、起爆装置、運ぶ道具です。すでに弾道ミサイルがたくさん飛んでいるように、運ぶ道具は開発済みです。

その中で次に重要になってくるのが核燃料。今回ここが攻撃されたんですが、これをもってイラン側が本当に核兵器を開発しようとしていたかどうかというのも、現時点でも100%定かではないわけです。

それにも関わらず今回攻撃に踏み切ってしまった。核開発を止めたい、もしくは核兵器の保有を何とか後退させたいと思っていた行動が、逆に加速させてしまう可能性もある。そういった極めてセンシティブな状態になってるんじゃないかなというのが今の状況です。

上村彩子キャスター:
今後より緊迫化しそうですが、いかがでしょうか。

前中東支局長 須賀川拓記者:
やはりイランの出方です。どういうことかと言いますと、当然イランは報復措置に出るわけですが、すでにイスラエルへの報復というのを行っています。先ほど私のイスラエルの知人からも、さっきから1時間防空壕にいるという連絡も来ています。ただ、これだけで終わるとはどうしても思えない。

そうすると、ホルムズ海峡の封鎖みたいな話も出てくるわけです。実際に封鎖しなくても、「封鎖します」とか「封鎖するぞ」と脅しをかけるだけで、世界中の物流コスト、原油コストにそれが反映されてきてしまうわけです。

ただやっぱり一番の懸念は視聴者の方からもたまに質問を受けますが、世界大戦になるんじゃないか。そこに関してはやはり冷静に見ていかなくてはいけないと思います。