高知市出身の俳優・まひろ玲希(たまき)さんがヒロインを務めた映画「骨なし灯籠」が、6月20日から高知で上映されます。ロケ地・熊本では観客動員数およそ5800人の大ヒットとなったこの映画で、“1人2役”を熱演したまひろさんに、映画への思いを伺いました。
◆まひろ玲希さん
「人を亡くされた方は、どんなに時間が経っても、『切ない』『会いたい』という思いがあると思いました」
映画「骨なし灯籠」は、妻を亡くし深い喪失感を抱く男性が、まちの人たちとの出会いを通して“生きる希望”を見いだしていくというストーリーです。舞台は熊本県山鹿市。「骨なし灯籠」は、金具を一切使わず紙と糊だけで作られた「山鹿灯籠」の別名で、女性がこれを頭にのせて踊る「山鹿灯籠まつり」が、映画の軸となっています。

まひろさんは、亡くなった妻と、その双子の妹、“1人2役”の難しい役どころを、見事に演じ切っています。
◆まひろ玲希さん
「双子ということで、顔が似ていてそっくりな分、喋り方や声質を少し変えるとか…。変えすぎると分からなくなっちゃうので、その加減が難しくて、監督と話し合いながら演じ方を決めました」

この作品は、「トロント国際女性映画祭」など、国際的な映画祭でも数々の賞を受賞する高い評価を得ていて、熊本では5か月間という“異例”のロングランを記録。観客動員数およそ5800人の大ヒットとなりました。
◆まひろ玲希さん
「映画は、驚きの展開ですよ。だから、1回見た人が感動して、そのまま2回目の上映もご覧になる方が東京でも多くて…。“もう一度見たい”という現象は、私も初めてだった」

「人は1人では生きられない」この映画では、「共に生きる」=共生がテーマのひとつとなっていて、多くの人がこの物語に共感しています。
◆まひろ玲希さん
「実際、30代の女性で生きることに疲れていた人から『前向きに頑張って生きていこうと思います』というメッセージをもらって、良かったと思いました」
まひろさんは、20歳のときに俳優を目指して上京。日本を代表する喜劇俳優・藤山直美さんの付き人をしながら演技を磨き、これまで、映画にドラマ、コマーシャルと、活躍の場を広げてきました。

◆まひろ玲希さん
「今までの作品の中で、いちばん自信のあるおすすめしたい作品。愛する人のことを思い出しながら。どうしても癒やしきれない思いを映画を見て、心癒やされて、前向きに生きていってほしいと思います」
「骨なし灯籠」は、6月20日から、高知市の「キネマミュージアム」で上映され、6月21日・22日には、まひろさんや監督の舞台挨拶が予定されています。当初は6月26日までの上映でしたが、高知での上映開始後の反響も大きかったことから、7月3日まで上映期間が延長されています。
今回、この作品で初めてメガホンをとった木庭撫子(こば・なでしこ)監督は、「大切な人を亡くした人だけでなく、孤独や生きづらさを感じている人を、さりげなく未来へと繋げる映画です。映画を見終わったあと、灯籠のあかりのように心に小さな灯がともることを願っています」と話しています。