コメの価格高騰などの影響で日本酒が逆風にさらされる中、富山県富山市の酒蔵が新たな挑戦を始めました。

富山県立山町の山あいにある田んぼで6月中旬にも関わらず、東京からやってきた家族連れなどが田植えをしました。

植えていたのは県が開発した酒造好適米「富の香」です。

この田んぼで収穫された米は富山市婦中町にある吉乃友酒造が仕込む日本酒の原料になる予定です。

田植えには、吉乃友酒造のアンバサダーに就任したラグビー元日本代表の大野均さんも参加しました。

ラグビー元日本代表 大野均さん
「日本酒を通して日本のコメの良さをもっと広めていきたいという思いに共感した。自分も田植えをして楽しい時間を過ごさせてもらっています」

吉乃友酒造は、米だけを原料にした純米酒づくりにこだわる小さな酒蔵です。

代表銘柄の「后」を旧神岡鉱山の坑道深くに貯蔵して熟成させるなど、日本酒の高付加価値化に取り組んでいます。

海外進出にも積極的で、中国や台湾、フランスなど、世界各地に日本酒を輸出しています。

吉乃友酒造 吉田憲司社長
「海外にお酒のPRに行っている時に(農産物の)有機にこだわる人がずいぶんいるんだなと思って、これは日本酒も有機でやらなきゃなと思って」

この酒米は、農薬や化学肥料を使わない有機栽培で育てられます。除草剤を使わないため、4日に1度は草取りが必要で、通常の酒米より手間もコストもかかりますが。

吉乃友酒造 吉田憲司社長
「原料のところからこだわるようなそういうお酒づくりをしっかりやっていって、国内だけではなくて海外にもどんどん発信していきたい」

この酒米の稲刈りは10月以降で、日本酒は来年2月発売予定です。