現在の岩手県奥州市江刺地域で保存されていた甲冑や武具、調度品、美術品などから、当時の人々の美意識や文化について知ることができる企画展が奥州市江刺で開かれています。

「近世のみやび 在方のダンディズム」と題して行われているこの企画展は、えさし郷土文化館の開館25周年を記念して開かれているものです。

会場に足を踏み入れると、室町時代に作られた名刀「備州長船祐定」が目を引きます。これは岩谷堂の家老、佐野家に保管されていたものです。
「祐定」は備前国(現在の岡山県東部)の刀工集団「長船派」の名工の一人です。
当時は「武家は家の格に応じた物を身につけるべきである」という考えがありました。当時の一大人気ブランドであった「祐定」の刀を身につけていたことから、佐野家が伊達の侍として高い誇りを持っていたことを知ることができます。

さらに奥に足を踏み入れると、4体の甲冑が現れます。
このうち中央にある「鉄地黒漆五枚胴具足」は伊達政宗が着用した鎧と同じ構造をしています。

ただし、兜の前立て部分が、政宗の兜は「三日月」であるのに対し、家臣であることを示す「八日月」となっています。

このほかにも江刺の武家で保管されてきた屏風絵や浮世絵など、合わせておよそ40点が並んでいます。

えさし郷土文化館の野坂晃平課長は「仙台藩の北辺であるこの地域で、誇りと高い美意識を持って暮らしていたことを知って欲しいです」と話していました。

この企画展は22日(日)まで行われています。