(クォン・ヨンソク准教授)
昔は、米軍を中心とした外国人向けのナイトクラブなどの歓楽街ですよね。例えば若い女性たちが「梨泰院に遊びに行こう、飲みに行こう」という場所ではなくて、少し怖いというか、近づきがたいという雰囲気がありつつ、でも外国人と何か触れ合いたい人はあえて行く、ちょっと勇気を持って行くような街の雰囲気でした。ちょっとそこだけはソウルじゃないような感じの、ものものしいようなところも多少ありました。坂の上でもあったり路地も多いですから。
―――2001年に地下鉄の駅が開業して以降、街の様子が変わってきました。国際的な解放区の雰囲気、エスニック店ですとかLGBTQのお店なんかも多くて開放的な雰囲気があります。やはりドラマ「梨泰院クラス」の影響もあって、梨泰院のハロウィーンは特別といった印象が浸透してきました。主人公のパク・セロイが働いていたお店だ、とか至る所に見覚えのある景色ばかりで、日本に上陸する前の最新のスイーツ店もたくさんあって、本当にホットな場所という印象でした。異国の雰囲気を感じられて新しいお店があるっていう意味では強いて大阪で例えるなら、「アメ村と堀江を足して2で割ったような」。本当に若者の人気が集まるのわかるなという感じです。

2000年代半ばぐらいから外国人だけじゃなくて、韓国で有名な芸能人がそこに住むとか、そこに店を出すとか、になって非常におしゃれなトレンディスポットになっていったというところありますよね。LGBTQは、韓国ではタブー視されていましたが、そういった店もあったり、イスラム寺院もあって、文化的、宗教的にも開かれた、韓国で非常に国際色ある、新たな文化を生むトレンディな場所だったのに非常に残念です。
―――韓国におけるハロウィーン文化は、2014年ごろから盛り上がり始めたようです。SNSの流行や英語教育に力を入れるということで英語幼稚園が増加し、アメリカの文化ということで、ハロウィーンが浸透し始めたということです。日本の影響も大きく、渋谷など繁華街の盛り上がりの様子や、アニメやコスプレなどのカルチャーが、韓国でも人気ということです。
2000年代から英語幼稚園やインターナショナルスクールが増えてきて、ちょうどそのとき子どもだった世代が今10代後半~20歳でちょうど若者になったという世代的な部分もあると思いますし、その世代は、日本文化に親しみを持ってる人たちが多いんですよね。コスプレもその一つで、上の世代などはコスプレなど『何やってんだ?』と白い目で見られた時期がありましたけど、今の若者は逆に積極的にそういう文化を取り入れて徹底的に楽しむという文化、そしてそれをお隣の同じアジア人である日本の若者が先にやったというところで非常に影響を受けて、私達もやりたいなということです。わざわざ渋谷のハロウィンに出かける人たちもいましたよね。それが国内でできるようになったということです。
わたしはそれを韓流にかけて「日流」と表現しています。実は2000年代半ばから、日本文学や日本の音楽やグルメ、アニメ文化を相当受け入れていた時代というか時期があって、韓流と同じ時期に起きていたっていうのは日流という現象があったことをぜひ日本の方にもわかってほしいと思います。














