小林康秀キャスター「トランプ大統領の関税の様々な発言が毎日のようにいろんなところで出ていますが」
獺祭桜井一宏社長「世界中にお酒を輸出しているので、いろんな国に影響しているなというのは感じる。お客さん全体が先行き不透明なお財布のひもが固い」
ただ、ポジティブな一面もあると言います。
獺祭桜井一宏社長「私たちの獺祭BLUEにとっては日本から来るお酒と価格差が関税の面で価格的に有利になる面がある」
獺祭BLUEとは、アメリカニューヨーク州に2023年に完成した酒蔵で作る純米大吟醸です。現地で直接作るからこそ、関税の影響を回避出来るメリットが生まれました。

獺祭桜井一宏社長「アメリカでいうと、そういう私達のお酒が価格的に有利になると、追い風にして、より市場に浸透していくということになる」
桜井社長はおよそ20年ほど前に入社してから、長くアメリカ市場の開拓を続けてきました。今も現地の料理大学と提携して、日本酒文化を広めるなど、地道な活動を続けています。
獺祭桜井一宏社長「アメリカ市場の0.2%がアルコールの中の日本酒のシェア。その外を取りに行けば、大きな未来がある」
しかし今、その酒造りの根幹を揺るがす問題が起きています。食用米の価格高騰、いわゆる「米不足」です。
獺祭桜井一宏社長「農業に対する今までのシステムのおかしな部分がでたと思っていますし、やはりこの状況を改善すべきだと思っているんですが」
酒造りに使う「酒米」は、食用米より栽培に手間がかかるため、生産をやめてしまう農家も出かねないとも言われていて、日本酒業界では、この秋の酒米の確保に心配する声も出ています。
獺祭桜井一宏社長「今現状、値上がりした食用米より高い金額で購入させていただいていたのですが、やっぱりそれを値段を上げさせてほしいと、先月農家さんみなさまにご案内を差し上げた。全体としては15%の値上げ」

これまで獺祭では、高額な賞金を用意して最高の山田錦を選ぶコンテストを実施するなど、契約農家に支援をしてきました。桜井社長は引き続き支援する環境を作りたいとしています。
獺祭桜井一宏社長「私たちと一緒に頑張ってくれる農家さんが食用米いいね、うらやましいなという状況には絶対にしたくない」
国内で、縮小の一途をたどってきた日本酒市場において、今こそ、出会いを増やす努力が必要だと桜井社長は語ります。
桜井一宏社長「今年からイベントを1000回やっていこうという話をしている。1日3回くらいでしょうね。今までのイベントって実際同じお客さんが来る傾向が非常に高い。そうじゃなくて新しいお客さんに出会うためには私たちは出て行って、他のお客さんと出会う1000回をめざそうと」

獺祭は、今後売上高1000億円を目指しています。そのうち700億円が海外の目標です。
桜井社長「やっぱり私たちって伝統産業、そういう伝統産業が地方から世界に行ってブランドになるってまだまだ少ない。私たちはそこに挑戦して、地方からも世界に出られるということをお見せしたい」
