トランプ関税と米不足、両方の課題に直面している業界があります。「日本酒」です。6月から社名をブランド名に変更した株式会社獺祭の桜井一宏社長にインタビューしました。桜井社長は、米不足の今、農家を守るためにできる事はしたいと話しました。日本の酒蔵はどこへ向かうのか、社長に並々ならぬ覚悟を聞きました。
豊かな自然に抱かれた山口県の山あいに世界が注目する酒蔵があります。「株式会社獺祭」。旭酒造から日本酒のブランド「獺祭」そのものを、このほど新たな社名としました。
獺祭桜井一宏社長「実際旭酒造っていうのは私が生まれたときからその名前でしたので、ちょっとさみしいのはさみしい。ただ獺祭というお酒ブランド自体がずっと私たちと一緒にいろいろ失敗を繰り返しながら成長してきていったそういうものですので、この名前になること自体がうれしいこと」

日本酒の「獺祭」は1990年、父で現在会長の桜井博志さんが、生み出しました。上質な純米大吟醸の生産に軸足を置き、精米歩合23%を実現。雑味の少ない味を追求しました。さらに杜氏を置かず、おいしい酒造りの技術や勘を200人の蔵人が再現できるように手作業にこだわった試行錯誤を繰り返し、品質管理を徹底しています。2016年から4代目の蔵元として社長に就任した一宏社長も毎朝絞りたての酒の出来映えを確認します。

Qどういったことからチェックするんですか?
獺祭桜井一宏社長「一つにはまず香りを嗅いでいっておかしなことはないか。次は味わいを見ていくのですが、味はやっぱりバランスが崩れていないかどうか」
タンクごとに成分をグラフで見える化し、利き酒に問題があれば原因を探ります。

獺祭桜井一宏社長「きょうは全部おいしかったのでほっとしています」
製造を拡大し、年間通して3000回仕込み、2024年9月期には195億円の売り上げ。そのうち4割の86億円がアメリカや中国などの輸出関連となっています。さらに世界に出て行くきっかけにしたいと踏み切ったブランド力強化のための会社名の変更。
そんな中、アメリカは今年トランプ政権となりました。