12日にIAEAがイラン非難の決議採択 イラン「新たなウラン濃縮施設を稼働させる」

高柳キャスター:
今回も、イランの核兵器開発への先制攻撃と位置付けているようですが、なぜこのタイミングでの攻撃になったのでしょうか。

元JNN中東支局長 秌場記者:
一つの大きな背景として、現在、アメリカのトランプ政権とイランは核開発をめぐって、アメリカとしては、核開発を抑えるための交渉を数か月行ってきました。ただ、若干行き詰まりを見せていたところです。

12日、IAEAが調査に協力しないということで、イランを非難する決議を採択しました。

これにイランは対抗して、「新たなウラン濃縮施設を稼働させる」というリアクションをしたため、イスラエルにとっては攻撃に踏み切る口実として利用できたと言えるかもしれません。

さらにもう少し広く考えると、最近、中東でイランの影響力が縮小してきたことが挙げられます。

イランが支援してきたレバノンの「ヒズボラ」では絶対的な指導者が殺され弱体化。パレスチナでは「ハマス」が弱体化、シリアの「アサド政権」も崩壊に至っています。

これらによる、中東でのイランの影響力縮小はイスラエルにとってはチャンスだと言えたと思います。

日比麻音子キャスター:
イスラエルはイラン最大の施設へ攻撃をし、ネタニヤフ首相も主要な核科学者を標的にしたと声明を出しています。

そういった面では“精神的な攻撃”でもあったと見ていいのでしょうか。

元JNN中東支局長 秌場記者:
そうですね。イランは核開発を国の誇り、中心にやってきたということが一つあります。

すぐにでも核兵器を持つのではないかと指摘していたイスラエルからすると「自分たちの身が危ないのでやっているのだ」というのが主張です。

核科学者の暗殺は過去にもありましたが、イランから見ると革命防衛隊という非常にパワフルな組織のトップが殺されていて、いつどこにいるかもわかった上で攻撃されているので、屈辱やダメージはかなり大きいと思います。