今、世界が脅威になっている2つの国家といえばロシアと北朝鮮。共産主義国家をベースにした個人崇拝による2つの権威主義国家が今、隣国に軍事侵攻し、或いはミサイルを発射して、脅威の存在感を増しています。ウクライナで弾切れが指摘されているロシアに対し、「北朝鮮が砲弾を搬入している(筑波大学名誉教授・中村逸郎氏)」。一方の北朝鮮は「食糧難で兵士は栄養失調になっている(龍谷大学教授・李相哲氏)」という両国の窮状を紹介。瀬戸際に立つロシアと北朝鮮。そこで専門家2人に聞いてみた。中村名誉教授には「ロシアの核攻撃」、李教授には「北朝鮮の核実験」、それぞれの可能性について中村名誉教授は「51%」、李教授はなんと「100%」としました。

―――アメリカ政府は、北朝鮮が「相当な数の砲弾を中東か北アフリカの国に送ると見せかけてロシアに供与しようとしている」と分析をしています。ロシアは何と言っても武器が欲しい。中村名誉教授によりますと「国境から鉄道で直接ロシアに搬入している可能性がある」ということですが。

(中村名誉教授)
そうなんです。ロシアと北朝鮮は国境を接していて、地図でご覧いただくとわずか約17キロ接しているんです。私は2018年9月にロシア側の国境の「ハサン」っていう村に行ったんです。国境地帯なので普通は行けないんですが、ただ私は北朝鮮とロシアの関係はどうなってるか見たくて、ロシア人のドライバーと一緒に行ったんです。立入禁止の看板があったんですが、見なかったことにしようということで・・・。

―――大丈夫だったんですか。

行ったんですよ、もちろん捕まったんですけれど、連邦保安局に3時間拘束されたんですけれど。ただね、私ハサンの駅に行ってびっくりしたのは、金日成氏と金正日氏の肖像画があって、その横にプーチン大統領の肖像画と3人分が並べられてるんです。北朝鮮からロシア側に建設労働者なんかどんどん、約3万人ぐらいが入っているんですが、その北朝鮮の人たちはハサン駅で一旦降りて、そこの「友好の家」っていうところへ礼拝してからロシアへ入るっていう儀式があって、北朝鮮とロシアの鉄道を使った交流は非常に盛んなんです。

2019年に金正恩委員長がウラジオストクに訪問した際も鉄道が使われ、この鉄道は2013年に開通しています。武器が鉄道で運び込まれている可能性が高いと考えられます。

―――いっぽうの北朝鮮は食糧が欲しい。李教授によると「4割の兵士が腹ペコである」と。また「ロシアのウクライナ侵攻に北朝鮮兵が出稼ぎ」。そんな話もあるんですか。

(李教授)
まず、北朝鮮で一番食料に困っているのが軍なんです。CIAの報告書などを読むと、半分以上が栄養失調にかかっている、それから兵士たちは村の住民たちから食料を奪ったりとか、家畜を盗んだりする事件も頻発しています。

だから、北朝鮮にロシアから小麦やガスが入るので、今兵士たちをロシアに供給するつもりで、既に1000人規模の部隊は人選が終わって2次募集が今始まって800人ぐらい募集すると言われています。ただ、一気に1800人を運ぶかということですね。

中村先生がおっしゃるように、鉄道を使って行くのか、飛行機を使うのかは明確ではないんですが、もう一つの方法はロシア国内に北朝鮮からの出稼ぎ労働者がたくさんいるんです。その人たちもほとんど軍の出身なので、そこからも多分募集して、ウクライナ占領地域に送る可能性があると言われています。

いっぽう昨日、アメリカのランド研究所の方が発表しましたけれども、この2日で日本円で200億円使ったというんです。おそらく計算方法が違っていて、北朝鮮はミサイルの在庫がたくさんあるんです、1000基ぐらいあるので、在庫を使ったとすれば、そんなに困ることはない。

それから軍人たちの労働力は「無料」なので、アメリカが発表したような数字にはならないんだけれども、ただ、それはやっぱりお金ですからね。この2日の費用だけで2年間の北朝鮮の住民の食料を輸入できる、2年間の食料を買えるということですね。