青森県出身の歌人で脚本家・寺山修司の生誕90年を記念した舞台が今週末に盛岡市で上演されます。没後40年以上が経過しても追加公演が行われる寺山ワールドの魅力とは?

(劇中歌)「満月隠し、歯を入れて・・・」

演劇「この世のことならず二の替わりお月さまが消える夢」は今度の土日の公演に向けて稽古が続けられています。

(劇中 母と息子の会話)
「いつまでもこうやって母さんのそばで暮らすのが似合っているんだ(本当か?)」

25歳のタロウは母親トヨに溺愛され家にひきこもってばかり。
楽しみといえば押し花ぐらいという孤独な青年です。

(劇中 少女の歌)
「寝ろよ、寝ろよ、手毬は月へ」
「まるで葉っぱ・・・(いらない世話だ)」

ある日、タロウの前に現れた謎の少女レイラがタロウを誘惑し、タロウは思いがけない行動に出ます。

寺山修司は昭和10年=1935年青森県弘前市で生まれました。
生前、演劇実験室「天井桟敷」で数々のアングラ作品を世に出しましたが、その舞台からは13歳の時から離れて暮らした母への執着と憎しみがにじみ出てきます。

「お月さまが消える夢」は寺山が生前、テレビ脚本として書いたものの映像化されなかった「十三の砂山」が原作。
盛岡市の脚本家・坂田裕一さんが2018年に脚色・演出したものを大幅に改訂しました。

(坂田裕一さん)
「逃れたい、でも逃れきれないという宿命とどう戦っていくのか?書を捨てよ、町へ出よう。じゃないですが、そんな思いを抱く人もいると思います」

2025年で生誕90周年、没後40年以上が経過しても、寺山が残した母親との愛憎を描いた言葉は今なお人々を引き寄せます。
予定された3公演はチケットがほぼ完売し急遽、追加公演が組まれる盛況ぶりです。

盛岡市の作業療法士、川村一生さん27歳は今回、公募でタロウ役を射止めました。
演劇初心者で寺山作品に触れるのも初めてです。

(川村一生さん)
「衣装とか小道具とかは古いなと思うんですけど、展開とかは観たことがない、新しい、観たことがないと思います」

寺山修司生誕90年記念企画「~この世のことならず二の替わり~お月さまが消える夢」は今度の土日、盛岡市肴町の風のスタジオで上演されます。