大量の産業廃棄物が不法投棄された香川県の豊島で、住民が県に産廃撤去を求めた公害調停が成立してあす(6日)で25年です。節目にあわせるように、きょう(5日)はボランティアが環境保全に取り組みました。

重い土を笑顔で運ぶボランティアたちです。豊島本来の自然を蘇らせようと、種をまいたり、植樹をしたり、地道な取り組みを続けています。目に見える成果もあらわれてきました。

(岡山大学 環境生命自然科学学域 嶋一徹教授)
「自然はゆっくりしか進まないんで、それを30年、40年進まなかったぶんを私たちが少しでも前に進めるように。壊すのは簡単なんですけど、元に戻すのは何十倍も時間がかかるんです」

小さな島に押し付けられた大量の産廃。不法投棄は業者が摘発される1990年まで続きました。許可を出したのは香川県でした。

(豊島の住民)
「カニも何も食べられへんそれでもみんな我慢しとるんですわ。香川県の県知事さんに意見してください」

住民は県の責任を認めさせ、原状回復を求める公害調停を申請します。そして2000年6月6日。当時の知事が謝罪し、合意が成立しました。

90万トンを超える産廃と汚染土壌を撤去するなどし、原状回復のための整地がおととし完了。しかし、地下水の環境基準はいまも達成されておらず、住民に土地が返還される見通しはたっていません。

公害調停成立から四半世紀の節目に、池田知事は。

(池田豊人香川県知事)
「今も地下水の環境基準が達成できていない。四半世紀を過ぎてもそういう状況になっているという、このことを改めて思います」
「まだこの問題が終わったわけではないという認識に立って、しっかりと最後まで取り組んでいく」

豊島住民の先頭に立って闘ってきた安岐正三さんです。

(廃棄物対策豊島住民会議 安岐正三事務局長)
「いかに不法投棄が悪質であって影響が長引くかということですね。だけど活動を続けていって、元の状態というんですか、原状回復しなければ禍根を残すということになると思いますよ。できるところからやっていくことが大事なことじゃないか」

毎年、植生回復のボランティアに訪れている団体は、豊島で起きたことを教訓に、環境保全の大切さを伝えたいと話します。

(NGP日本自動車リサイクル事業協同組合 サスティナブル委員会 岸本恭秀委員長)
「植物の芽が出たときにすごく喜びを感じますし、豊島の自然が戻ってるんだなという実感につながっています。二度とこういったことが繰り返されないように、伝えていきたいと思っています」

本当の意味での豊かな島を取り戻すまで。公害調停成立から25年たった今も闘いは続いています。