「銭形平次捕物控」などの作品で知られる岩手県紫波町出身の小説家、野村胡堂のの時代小説で使われた挿絵の原画を集めた企画展が、紫波町で行われています。

この企画展は、紫波町にある「野村胡堂・あらえびす記念館」が開館30周年を迎えたことを記念して、過去に行った企画展の中で好評だったものを、さらに内容を厳選して行っているものです。

会場には野村胡堂の小説「身代わり紋三」「轟半平」「町人十萬石」「隠密縁起」で使われた挿絵合わせて27点と、それぞれを掲載した本7点、あわせて34点が展示されています。

4つの小説はそれぞれ山口将吉郎、岩田専太郎、小林秀恒、中一弥と、挿絵を担当した画家が異なります。挿絵を一つ一つ見比べると、それぞれの画家のタッチが違うことに気づかされます。

例えば、山口将吉郎は細い線を使い、動きや表情を生き生きと描いています。

岩田専太郎は、まだテレビ時代劇の無かった時代にもかかわらず、スポットライトを主人公にあてて、主役の表情を際立たせているかのような出来上がりに驚かされます。

また、小林秀恒の作品は水墨画のように、墨の濃淡を巧みに使い、見る人の想像をかき立てるような仕上がりです。

そして、中一弥の作品は女性の姿が美しく描かれているのが特徴です。
野村胡堂・あらえびす記念館の主任学芸員、作山春香さんは「記念館には約1,400点の挿絵を所蔵していますので、1カ月ごとに作品を入れ替えます。是非、野村胡堂が大事にしていた挿絵原画をご覧いただきたいです」と話していました。

この企画展は、紫波町の「野村胡堂・あらえびす記念館」で8月31日(日)まで行われています。