福島県二本松市の棚田で、4日、酒米「山田錦」の田植えが行われました。この日田植えに参加したのは、二本松市の蔵元「大七酒造」の有志と、地元の協力農家です。作業は全て手作業ですが、これには理由がありました。

この「西谷棚田」は、美しい田園風景として「つなぐ棚田遺産」に認定されていますが、近年は、耕作されない田んぼが増えていました。

こうした中、大七酒造は、地域の農業や環境保全のため、おととしから棚田再生の取り組みを始めました。3年目の今年も一部の休耕田を復活させました。しかし、田んぼは何年も放置されていたため、農機が入る道もなく、開墾はスコップや鍬など、全て人力です。農機が入れられないため、4日の田植えも手作業で行われました。

開墾にかかった期間はおよそ3か月。「太い根っこもあってうんと大変だったんだ」と話す地元農家の笑顔の裏には、「昔あった美しい棚田の風景を取り戻したい」という想いが秘められています。

大七酒造・太田英晴社長「昨年収穫した山田錦はとても出来が良かったので、特別純米酒として今熟成中です。とてもよいお酒になると思います。今年の秋に発売する予定です」

西谷棚田保存会・渡辺久志会長「今年も良い酒米が実って、いいお酒ができて、この棚田が有名になるといいな」

来年以降も棚田の再生を続けていく。それにはみんなで楽しく作業することが大切だと語る渡辺会長の傍らには、小さなハート形の田んぼも作られていました。