気象の区分では、6月から夏がスタート。本格的な暑さと大雨の時期はこれからです。普段から体力づくりに取り組む消防隊員も、本格的な夏を迎える前に、体を暑さに慣れさせるトレーニングに励んでいます。

約10kgもある防火服を手際よく着込むのは、尾道消防署の隊員です。尾道市消防局は毎年、梅雨入り前の5月から体を暑さに慣れさせるため、普段の活動服よりも重くて分厚い装備でトレーニングを始めます。ランニングからストレッチのウォーミングアップをした後は、7階分ある階段をダッシュで2往復します。隊員同士の声かけがかなり励みになるようです。

女性隊員
「しんどいんですけど、現場はもっとしんどいところなので、弱音を吐かないようにがんばっています。先輩たちについていけるようにがんばります」

最年長隊員
「いつも通りで問題ないです。暑いですけど、今のうちにやっておけば真夏のときに耐えられるので、今が大事かなと思います」

この日も25℃以上の夏日。トレーニングはまだまだ続きます。水分補給をした後は、空気呼吸器を背負います。総重量は20kg。記者も着用させてもらうと…。

近藤志保 気象予報士
「歩くのもしんどいくらい、かなり重いですし、何より暑いです」

プロは20kgを携えて現場に走ります。実際の火災を想定した消防活動訓練です。人命救助には、スピードも必要です。

消防隊長
「だいぶ体も熱くなってきたんですが、まだまだいけます。(Q.まだまだ大丈夫?)まだまだ大丈夫です…」

尾道市消防局は、数年前から暑熱順化トレーニングを取り入れています。始めるきっかけは、夏場の消防隊員の熱中症でした。

尾道消防署 高原昌哉 署長
「以前出動しました火災現場で、消防隊員が熱中症のような症状を起こしてしまった。幸い大事には至らなかったんですが、こういったことが大きな事故につながる可能性があります。こういった訓練を日々重ねることで強靱な体力と精神力を身につけて初めて、市民の生命・身体・財産を守れると思っています」