オムツと着替えでパンパンのバッグ。歩かない子どもを抱えてダッシュ!会社に着くころにはすでにくたくた…。そんな経験がある人も少なくないはず―。準備も持参も大変な「保育園の荷物」。その負担を減らす「手ぶら登園」という新しい取り組みが始まっています。保護者だけでなく保育士の負担も減らす、「おむつサブスク」を活用した仕組みとは――。
重たい荷物に抱っこ…送り迎えはまるで“筋トレ”
ある朝の登園風景です。
保育園へ園児を預ける母親の左肩には、重さ5キロの大きなバッグと、体重11キロの2歳の男の子。バッグの中には、朝から準備したおむつや食具、バスタオルなどがぎっしり詰まっています。
保護者の中には、2人の園児を連れながら大きなバッグ2つを抱えて通園する人もいて、保育園へ続く坂道を登る姿は、まるで筋トレをしているかのようです。

「手ぶら登園」って?おむつサブスクで実現した仕組み
こうした負担を減らそうと、長崎県佐世保市の天竜保育園では、この春から「手ぶら登園」を始めました。
保護者がこれまで毎日持って行っていたおむつ、スプーン、フォーク、スタイなどを園で用意することで、登園準備をラクにする仕組みです。
この「手ぶら登園」を支えているのが、‟おむつのサブスク”。
園では、おむつやおしりふきを『定額制』で保育施設に届けるサービスを導入しています。保護者は月額2400円を別途支払うことで、このサービスを利用できます。

2歳の男の子を初めて保育園に預けるため下見に来ていた母親は「手ぶら登園は、こどもを預けるための準備が減って、登園のハードルが下がるので安心する」と話していました。
保育士の負担も減らす「手ぶら登園」
この取り組みは、保護者だけでなく保育士の負担軽減にもつながっています。
これまで園では、保護者におむつに子どもの名前を書いてもらい、使用済みのおむつを分別して返却していましたが、これらの作業が不要になりました。
天竜保育園 森ひとみ園長:
「保護者がおむつの準備に使っていた時間を、子どもと触れ合う時間に使ってもらうことで、子育て支援になれば」

少子化時代の保育園選び…「手ぶら登園」で差別化も
少子化で新入園児が減る中、他の園との差別化を図るために導入したという「手ぶら登園」。
保育士の負担軽減、保護者の安心感、子育て支援――。
これからの保育園選びの一つの基準になりそうです。