フィリピン当局は、中国と領有権を争う南シナ海の南沙諸島で活動していた自国の調査船が中国海警局の船から放水されたり、衝突されたりしたと発表し、中国側を非難しました。

フィリピン漁業水産資源局の発表によりますと、南シナ海の南沙諸島で21日、「サンディケイ」と呼ばれる砂州の調査を行っていた船舶2隻が、中国海警局の船から放水砲を発射されました。また、中国海警局はフィリピン船の側面に衝突したということです。

フィリピン側は、船首部分などに損害が出たと主張。中国側の行動を「攻撃的な妨害だ」としたうえで、「乗組員の生命を危険にさらす行為だ」と非難しました。

現場の海域は、フィリピンが実効支配するパグアサ島と、中国が大規模な埋め立てで軍事拠点化を進めるスビ礁の近くにあります。

今回の事態を受け、両国の対立が再びエスカレートするおそれもあります。

一方、中国海警局は「フィリピンの船舶が中国政府の許可なく違法に侵入した」とする報道官の談話を発表しました。

談話では、「フィリピン側の船が中国側の警告を無視したうえで、危険な接近を行い、衝突した」と指摘。「責任は完全にフィリピン側にある」と主張しました。

そのうえで、「中国の主権を侵害する行為を直ちにやめるよう求める」としています。