治安対策上の脅威と位置づける「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の対策として、警察庁と警視庁はきょう(22日)、今年の秋から始める新たな捜査体制を公表しました。全国警察の「捜査力の集結」を掲げ、全国からおよそ200人の捜査員を集めて、専従捜査体制をつくるなどして対策を進めます。
SNS上で実行役を募集し、各地で強盗や窃盗などを行う「匿名・流動型犯罪グループ」通称・トクリュウ。
犯罪収益を吸い上げる首謀者や指示役などの中核的な人物は、匿名性の高い通信アプリを使うなどして「匿名化」される一方で、SNSなどで募集された末端の実行役は「使い捨て」にされ、メンバーを入れ替えながら多様な資金獲得活動を行うため、警察庁は実態の把握が容易ではないとしています。
トクリュウの関与が疑われる特殊詐欺の去年1年間の被害額は過去最悪だった2014年を大きく上回り、SNS型投資・ロマンス詐欺についても被害額は前の年のおよそ3倍に増加。
警察庁の楠芳伸長官は「詐欺をめぐる情勢が極めて深刻」だと指摘したうえで、トクリュウを治安対策上の脅威と位置づけています。
警察庁はこれまで、特殊詐欺事件の捜査を全国の警察がより連携して行えるよう、去年4月、「特殊詐欺連合捜査班」=通称・TAITを設置し、7つの都府県警に500人規模の専従捜査員を配置しました。
警察庁によりますと、去年4月から今年3月末までの間にTAITを活用した437事件で441人の検挙に至り、このうち主な役割は、「受け子」「出し子」「かけ子」で7割を占め、主犯格は15人で3%でした。
警察庁は、「TAITによって全国的な捜査共助は図れるようになった」としたうえで、首謀者や指示役など中核的な人物の検挙に向けたさらなる強化が課題だとしていました。
そしてきょう(22日)、警察庁はトクリュウ対策として取り締まりを強化するための新たなを捜査体制を明らかにしました。
その1つが、「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」(仮称)の新設です。
全国から情報を集約・分析し、首謀者や指示役など中核的な人物を「取り締まりターゲット」に選定する役割を担います。
もう1つは、全国の警察から捜査員を集めた、200人規模の専従捜査体制です。
今年の秋と来年の春に、捜査経験を持つ優秀な捜査員が全国からおよそ100人ずつ集められ、警視庁に配置されます。
警察庁はこの専従捜査体制を「匿名・流動型犯罪グループ取り締まりターゲット捜査チーム(=通称・T3)」(仮称)と名付け、警察庁が選定した「取り締まりターゲット」となる中核的な人物の摘発を目指します。
警察庁の新たな体制は今年10月1日に発足する予定で、中核的な人物の実態解明と違法なビジネスモデルの解体を強力に進めていく方針です。
一方、警視庁もトクリュウ対策として新たな捜査体制を公表しました。
警視庁・副総監をトップとし部長級の「対策監」を配置する「匿名・流動型犯罪グループ対策本部」を新設。警察庁と連携するなどして中核的な人物を割り出し集中的に捜査する事件を選定します。
対策本部には全国から招集された「T3」の捜査員が配置され、340人規模の体制になるということです。
さらに、効率的な捜査のため22年ぶりに警視庁の刑事部と組織犯罪対策部が統合されます。
新たな刑事部には特殊詐欺だけでなくトクリュウが関与する事件を扱う450人規模の「特別捜査課」を新設し、摘発を強化するとしています。
警視庁は「匿流グループの活動は地理的制約がない。国境を越え、サイバー空間に広がる。首都警察として取締りに関する知見・ノウハウが豊富な警視庁が全国警察をリードしてトクリュウ対策を進めていく」としています。
警視庁は来月から開かれる東京都議会に条例改正案を提出し、可決されれば今年10月1日に新たな対策本部が発足します。
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