「姉の“最期”を知りたい」
そして20日、新たな動きがありました。妹たちが向かったのは東京地裁。ウィシュマさんが亡くなる様子を記録した全ての映像の開示を求め新たな裁判を起こしたのです。
国は295時間の映像を保管していますが、これまでに遺族側に開示したのはわずか5時間です。

ウィシュマさん(2021年2月23日 亡くなる11日前)
「病院に持って(連れて)行って、きょうお願い」
「担当さん、セーライン(点滴)、セーライン(点滴)」
入管の職員は一連の訴えを、一時的に収容が解かれる「仮放免」を目的とした「誇張やアピール」と受け止めたといいます。

ウィシュマさんの妹 ワヨミさん(32)
「5時間の映像を観ただけでも、残りの290時間の映像にとてもひどい場面が映っているのではないかと思っています」
実は国の調査報告書には、ウィシュマさんに対し職員が「鼻から牛乳や」と発言したり、「ねえ、薬きまって(キマッて)る?」などと、不適切な言動を繰り返していたことが記されています。しかし、そうした映像は一切、開示されていません。
さらに遺族が不可解だと考えているのは、亡くなる当日の映像です。
調査報告書には、職員が朝8時に「血圧が測れない」と発言したというやりとりが記されていますが…

入館の職員A「測れない?」
入館の職員B「あ、いけました。なんか動いている」
(2021年3月6日午前8時台 亡くなる当日)

映像は、ここですぐにその6時間後に切り替わり、映っていたのは呼びかけに一切反応しないウィシュマさんの姿でした。
入館の職員「(ウィシュマ)サンダマリさん!」
(2021年3月6日午後2時台 亡くなる当日)
ワヨミさん(32)
「開示されない映像には、姉にひどいことをしている、見せられない・隠していることが、映っているのではないでしょうか」
入管庁は取材に対し、「映像には保安・警備体制が記録されていて、(開示は)秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」としています。
ワヨミさん(32)
「家族にとっては、映像が姉を感じられる唯一のものです。死ぬ時には何もしてあげられなかった。だからせめてビデオを介してその場に行きたい。姉の“最期”を知りたい」