ひとたび大災害が発生すると、消防や救急隊員は水分補給もままならない状況です。山口市消防本部(山口県)で、隊員が公務中でも、コンビニエンスストアに立ち寄り、水分補給などができるようになりました。熱中症の危険から、消防・救急隊員を守る取り組みです。

消防車のフロントガラスに置いた紙には・・・「水分補給中」と書かれています。山口市消防本部では12日から、消防や救急隊員が公務中でも、コンビニエンスストアなどを利用できるようになりました。とはいっても、これまでに隊員が「コンビニエンスストア」に行ってはいけないという明確なルールはありませんでした。

山口市消防本部 消防総務課 井本仁 消防司令
「そういった施設に緊急車両が停まっていると、そこで何か起こっているのではないかと、市民のみなさんに思われていたのではないか」

取り組みの背景には、消防や救急隊員の負担軽減があります。

消防隊員
「コロナ禍以降、救急出場件数は毎年過去最多を記録している状況で昼食もままならない水分補給も十分ではない状況で連続出場という状況が何日かあったことはあります」

山口市消防本部によりますと、救急車の出動数は増加傾向にあります。去年は1万332件の出動があり、4年連続で増加しています。

去年山口市内で、大規模な山林火災が発生しました。このとき長時間対応にあたり、十分な水分補給ができず、トイレにも行きづらい状況でした。隊員は水筒などで飲み物を持参していますが、長引く活動などで飲みきることもあります。

消防隊員
「現場の人が近場のコンビニで水分補給や食材を確保する、そういったメリットを生かせるということころで現場としてはありがたい」

山口市消防本部では現在、市内21か所のコンビニエンスストアや道の駅を利用できるよう、店舗と調整しています。適切な水分補給やトイレ休憩で、迅速な対応や市民サービスの向上につなげます。

井本 消防司令
「コンビニの利用中も、救急出場や災害の指令があれば、すぐに対応できる態勢は整えています。市民のみなさんのご理解、ご協力をよろしくお願いします」