厚生労働省はきょう(31日)、2024年度に控える介護保険制度の見直しに向け、
所得が高い高齢者の介護保険料引き上げなどについて本格的な議論を始めました。
65歳以上が負担する介護保険料は年々増え続けていて、2000年度は全国平均で月2911円だったのが、現在は倍以上となる月6014円になっています。
高齢化が進む中、介護費用はさらに増える見込みであることから、厚労省はきょう(31日)開いた専門部会で、介護保険制度の見直しに向けた本格的な議論を始めました。部会では所得が高い高齢者が支払う介護保険料を引き上げることや、介護サービスを受けた際の自己負担の割合を見直すことなどが論点にあがっています。
厚労省はこうした議論の方向性を年内にもまとめる見通しです。

【記者解説】
介護保険制度はもともと、家族が担っていた介護を社会全体で担っていく「介護の社会化」を目指して2000年に始まりました。
ただ、急速に進む高齢化に伴いその費用は増え続けていて、2000年度におよそ3.6兆円だった介護費用は、2020年度には11.1兆円と20年でおよそ3倍になりました。
今後も、65歳以上の高齢者数は、現在(2022年9月推計)の3627万人からピークを迎えるとされる2042年に3935万人にまで増え、一方で、制度を支える40歳以上の現役世代の数は、2020年代の後半から減少する見込みとなっています。増え続ける費用をどうやって負担するのかが、次の制度改正に向けた大きな論点です。
ある厚労省関係者は、制度を維持していくために「所得が高い高齢者に負担してもらうことは避けられない」との見解を示していて、痛みを伴う改革にどこまで踏み込めるかが焦点となりそうです。