中東を歴訪中のアメリカのトランプ大統領。去年、アサド政権が崩壊したシリアに対する政策を大きく方針転換し、制裁を近く解除する方針を示しました。

中東歴訪、最初の訪問国サウジアラビアで世界遺産ディルイーヤの遺跡を訪れたトランプ大統領。隣にいるのはムハンマド皇太子です。一緒にパフォーマンスなどを見て回り、皇太子の運転するカートにトランプ氏が乗って移動するなど親しさを演出しました。

これに先立ち行われたトランプ氏と皇太子の会談でも…

アメリカ トランプ大統領
「あなたを訪ねるのが好きだ。お互いをよく知っていて、お互い気に入っていると思う」

親密ぶりをアピール。トランプ氏に同行したイーロン・マスク氏と皇太子が握手を交わす姿もありました。

会談後、トランプ大統領とムハンマド皇太子は6000億ドル=日本円でおよそ88兆円規模の対米投資や経済協力をまとめた合意文書に署名しました。このうち、サウジアラビアへのアメリカ製武器の売却は、過去最高の1420億ドル=およそ21兆円規模となっています。

訪問の最大の狙いである巨額の投資をとりつけたトランプ大統領。会談後、アメリカとサウジアラビアの投資促進のイベントで演説し、ムハンマド皇太子に謝意を示したうえで、経済面での連携強化が中東地域の平和と安定につながると強調しました。

アメリカ トランプ大統領
「中東の黄金時代は我々とともに歩むことができる。ともに働き、ともに成功し、ともに勝利する」

そして、この演説ではアメリカの対シリア政策の大きな方針転換となる発表が…

アメリカ トランプ大統領
「私はシリアが偉大になるチャンスを与えるため、シリアに対する制裁の停止を命じる予定だ」

トランプ氏は「シリアとの関係正常化に向けた第一歩を踏み出した」と述べ、対シリア制裁を解除する方針を明らかにしました。

去年12月に独裁的だったアサド前政権が崩壊したシリア。前政権時代に科されたアメリカの対シリア制裁は、新体制となっても維持されていました。

アメリカ トランプ大統領
「多くの惨状と死を見てきたシリアだが、新しい政府には国の安定と平和の維持を望む」

ホワイトハウスによりますと、トランプ氏はシリアのシャラア暫定大統領とこのあと面会する予定です。