今年4月末現在、マイナンバーカードの保有者は9798万人に達し、保有率は78.5%と1億人に迫っています。しかしその一方で、コンビニでの誤交付やマイナ保険証への別人の情報紐付けなど、トラブルが後を絶ちません。「さらに、視覚障害者が利用する点字表記においても、看過できない問題が起きている」と指摘するのは、毎日新聞出版社長の山本修司さんです。5月9日のRKBラジオ『立川生志 金サイト』に出演し、この問題について解説しました。
点字考案200年 社会をつなぐ大切な文字
今年2025年は、フランスの盲学校教師ルイ・ブライユが点字を考案してから200年という記念すべき年です。視覚障害者にとって、点字は社会とのつながりを保つための重要な手段であり続けています。
点字は表音文字、つまり音を表す文字です。そのため、原則として発音通りに表記します。「日本点字表記法」という規則があり、例えば「佐藤」さんの場合は発音通り「さとー」と表記されます。立川「生志」さんの場合は「しょーし」、わたし、山本「修司」の場合は「しゅーじ」となります。
行政の表記は「フリガナ」ベース
しかし、行政機関が扱う表記は、住民基本台帳の振り仮名情報に基づいているため、「佐藤」さんは「さ」「と」「う」、「生志」さんは「しょ」「う」「し」、「修司」は「しゅ」「う」「じ」と表記されます。これは私たちが小学校から学んできた表記と同じです。しかし、実際の発音は「さとー」「しょーし」「しゅーじ」であり、表記と発音にはずれがあります。
野球やサッカーのユニフォームのローマ字表記を例に挙げると、「佐藤」は「SATO」、「工藤」監督は「KUDO」と表記されるのが一般的です。しかし、少年チームなどではひらがな表記の影響からか「SATOU」「KUDOU」と書かれているのを見かけることがあります。
一方、LINEでの若い世代の「そういうこと」を「そーゆーこと」と表記する例は、点字の表記においては発音通りで正しいと言えます。