後半国会の焦点となっている「年金制度改革法案」について、政府・与党は、週内にも国会に提出する見通しとなりました。ただ、改革の柱が削除されるなど“骨抜き”との指摘も出ています。

きょうの自民党総務会。党内の意見集約が難航し、国会への提出が大幅に遅れていた「年金制度改革法案」が了承されました。

自民党 鈴木俊一 総務会長
「ルーティン的な年金改正ではなくて、抜本的部分に踏み込んだ議論を党としてするのが必要なんじゃないかと、そんなようなご意見もございました」

法案では、パートで働く人が厚生年金に加入しやすくなるよう、「年収106万円の壁」と呼ばれる年収要件が撤廃されることなどが盛り込まれています。

一方、厚生年金の加入期間が短い“就職氷河期世代”の救済を目指す「基礎年金」の底上げについては削除されました。財源として、会社員らが加入する「厚生年金」の積立金を活用することに、党内から「流用だ」との指摘が相次いだためです。

改革の“目玉”を失った法案に、野党は…

国民民主党 玉木雄一郎 代表
「まんじゅうのね、こしあんか何か知りませんけど“あん”のほとんどを抜いた形で“がわ”だけ出してきても、それは多くの皆さんの将来不安を解消する年金改革になっていません。そんな無責任なことをするのかということは、これは参議院選挙の争点になりますよ」

夏に参院選を控える自民党の参院幹部も「強行に進める法案ではない」と、今後の進め方に注文を付けました。

自民党 松山政司 参院幹事長
「拙速な議論になってはならない。しっかり与野党協議をして、納得のいく形で年金制度の改革を進めていくべきだと」

一方、自民・公明両党の幹部はけさ、この法案について、今の国会での成立を目指す方針で一致しました。

自民党 坂本哲志 国対委員長
「(総理が)年金法案を提出するということ、そして成立をさせたいというような趣旨のことをご答弁されましたので、私達もそれに向けて最大限努力をする」

政府は今週金曜日にも国会に提出する予定で、来週20日に審議入りする見通しです。

会期末まで残り1か月あまりとなるなか、“目玉”を失った法案は成立するのか、漂流するのか。綱渡りの国会運営を迫られることになります。