今年の夏は厳しい暑さが少し和らぐ可能性が出てきました。その理由は、7年以上続いた「黒潮大蛇行」の変化。魚の値段にも影響が出るかもしれません。
記録的不漁で「商売として成り立たない」静岡のシラスに何が?
記者
「午前9時半です。いまシラスをのせた船が港に戻ってきました」
静岡の御前崎魚市場には、多い時にはシラスが入ったかごが200〜300ほど並ぶといいますが、この日はかごが3つしかありません。

仲買人
「いや無いですよ。いくら少ないと言っても、もうちょっとは普通ある。これしかないって商売として成り立たない」
静岡のシラス漁はここ数年、不漁が続いています。10年前、8500トンほどあった水揚げ量は近年、急激に低下。ゴールデンウイーク恒例の「生シラス」販売も2025年は中止になってしまいました。

大井川商工会 榊原昇次 会長
「シラスが販売できなかったのはおそらく初めて」
こちらの鮮魚店は県外産のシラスを売っています。

鮮魚魚長 伊藤雄哉 専務
「地元の魚売りたい、いい物を提供したいというのがすごくあるが、量が少ないと値段も高騰し、どうしても他県を頼ることになる」
深刻な不漁の原因の一つに挙げられているのが…
大井川商工会 榊原昇次 会長
「最近天候も不順で海流も大蛇行している。その影響が大きいのではないか」
本州の南を流れる暖かい海流「黒潮」。この「黒潮」は2017年以降、紀伊半島から東海沖で南に大きく蛇行する状態が続いていて、過去最長の「大蛇行」となっていました。(2025年3月28日時点)

専門家は…
海洋研究開発機構 美山透 主任研究員
「黒潮というのは非常に暖かくて強い流れ。それが静岡にぶつかるような形で流れてくるので。水温が高くなり、南から来る魚は増えるが今までいたような魚がいなくなったり。その魚が生息しにくい環境になっている可能性もあるし、餌が少なくなっている可能性もある」
ただ気象庁は9日、7年9か月にわたり続いていた黒潮大蛇行が「終息する兆しがある」と発表しました。

海洋研究開発機構 美山透 主任研究員
「(不漁が)黒潮大蛇行が原因だったとすれば、(回復は)少し期待できるところかな。断言はできないが期待したい」