気象庁は、7年9か月にわたり続いていた「黒潮」の大きな蛇行が終息する見込みであると発表しました。終息すれば、漁業への影響のほか、東海地方や関東地方の気候にも影響を及ぼすと指摘されています。

本州の南には暖かい海流である「黒潮」が流れています。この「黒潮」は2017年8月以降、紀伊半島から東海沖で南に大きく蛇行する状態が続いていて、「大蛇行」の継続期間としては過去最長となっていました。

これについて、気象庁は「きのう(8日)時点で大蛇行が見られなくなり、今後この状態が続いて終息する兆しがある」と発表しました。

暖かい黒潮の大蛇行が解消すると海水温が変化するため、捕れる魚の種類や漁場の位置が変わるなど、漁業に影響が出る見通しだということです。

さらに、「黒潮大蛇行」の終息は日本の気候にも影響を及ぼすと指摘する専門家もいます。

東北大学 杉本周作准教授
「黒潮大蛇行の影響で東海地方や関東地方では気温が上昇したり、降水量が増えたりしていました。もし終息すれば、大蛇行による“上積み”がなくなり、暑さや大雨が弱まると考えられます」

杉本准教授によると、東海地方では「黒潮大蛇行」の影響で降水量はおよそ1.5倍となり、気温はおよそ1℃上昇していたということで、終息すればこうした影響が緩和されるということです。

気象庁は「大蛇行が見られない状態が3か月以上続けば、終息したと判断する方針だ」としています。