渋滞緩和への新たな一手となるのか。熊本県は、時差出勤などの渋滞対策に取り組む企業を増やすため、新たな制度を設けました。

熊本県 木村敬知事「事業者の皆さんにご協力頂きながら、渋滞対策の新しい仕組みを作っていきたい」
新設されたのは「渋滞対策パートナー登録制度」です。
これは、時差出勤やテレワーク、公共交通の利用促進など、渋滞対策に取り組む企業を「パートナー」として登録する制度です。

経済界にとっても渋滞対策は喫緊の課題です。
経済同友会 笠原慶久代表幹事「TSMCの進出を契機に半導体関連企業の熊本への進出が活発となっています。しかしながら、交通渋滞が経済成長を阻害する一員として大きな課題となっている」

熊本市の渋滞は政令市でも最悪と言われています。渋滞で損なわれる時間から算出された経済損失は、県民1人当たり年間17万円、熊本市民に限れば24万円に上るというデータもあります。

県内で約80路線を運行する九州産交バスは、自社の損失を次のように見込んでいます。
九州産交バス営業部 内野雄太課長「1日当たり15万円程度。年間で言うと大まかな試算で400万円程度」

朝のラッシュ時には、最大30分ほど遅延することもあり、従業員の勤務時間が伸びることで損失に繋がっているということです。またバスの遅延による悪循環も懸念されます。
九州産交バス営業部 内野雄太課長「バスが遅れることによって、バスを利用しようとする客が減る。マイカー利用者が増えることによって、より渋滞を引き起こす。負のスパイラル」
そこで、熊本県内のバス事業者は「運賃無料の日」を設けるなど、バスの利用促進を推し進めています。
九州産交バス営業部 内野雄太課長「私たちだけでは対応策が限られるので、官民連携した取り組みをしている」

現状を打開するため、熊本県と熊本市は2024年9月、1日あたり約4000人の職員を対象に、時差出勤やリモートワークの実証実験を実施しました。県は「一定の効果があった」として、今後1年間で企業の協力を得て対象者を1万人に増やし、公共交通の利用も倍増させる考えです。

パートナー制度は渋滞緩和に有効な一手となるのか。県は、2025年8月末までに200社のパートナー登録を目指しています。