札幌・すすきののホテルで男性が殺害され、親子3人が逮捕・起訴された事件で、死体遺棄と損壊のほう助の罪に問われた62歳の母親に、札幌地裁は懲役1年2か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

【事件の経緯を画像で見る】

田村瑠奈被告(中央)と母親の浩子被告(スケッチ)、父親で医師の修被告

 この事件は2023年7月、札幌・すすきののホテルで、当時62歳の会社員の男性が殺害され、田村瑠奈被告(31)と父親で医師の修被告(61)、母親の浩子被告(62)の3人が逮捕・起訴されたものです。

父親で医師の修被告(facebookより)

 このうち、父親の修被告には札幌地裁が2025年3月、懲役1年4か月、執行猶予4年の有罪判決を言い渡し、検察・弁護側ともに控訴しています。

 母親の浩子被告は、瑠奈被告が遺体の一部を自宅に置いておくことを容認したなどとして、死体遺棄と損壊のほう助の罪に問われていました。

遺体の一部が置かれていた被告の自宅(札幌市厚別区)

 これまでの裁判で検察は、死体遺棄のほう助について「家族の共有スペースである浴室を隠し場所として提供し、物理的にほう助した上、損壊した頭部を見せられて『すごいね』と言うなど、犯行を積極的に容認し、心理的にほう助した」と指摘。
 
  また、死体損壊のほう助については「浩子被告が損壊行為の撮影と知ったうえで、修被告に依頼したことで撮影を実現させ、損壊行為を心理的にほう助した」として懲役1年6か月を求刑しています。

初公判時の浩子被告(去年6月・スケッチ)

 一方で、弁護側は「浩子被告は浴室の提供を容認できる立場ではなく、許可を求められたことも与えたこともない」と反論。

  「修被告に損壊のほう助が成立するという判決を前提にしても、浩子被告は撮影を依頼した段階で損壊行為を撮影するとは認識していなかった」として無罪を主張していました。

判決を言い渡した渡邉史朗裁判長


 7日の判決で札幌地裁は、「自宅に遺体が遺棄されているにもかかわらず、警察に通報しなかったことで瑠奈被告の心理を強めた」などと指摘。

一方で、浩子被告が、後悔を述べていることを考慮し、懲役1年2か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

判決を聞く浩子被告(7日・スケッチ)