今シーズン日本記録を連発している女子陸上界のエース田中希実選手。その素顔と強さの秘密に迫ります。

中長距離のエース 田中希実選手の“強さの秘密”

高柳光希キャスター:
陸上女子中長距離界のエース田中希実選手。こちらの全てが田中選手が保持している日本記録です。

【田中希実選手 日本記録】
・1000m
・1000m室内
・1500m
・1500m室内
・2000m
・3000m
・3000m室内
・5000m
・5000m室内
・1マイル(約1.6キロ)
・1マイル室内
・1マイルロード
・5キロ(女子単独)

全部で13個あり、中でも1000m室内、1500m室内、3000m室内、5000m室内の4種目は、今年4戦連続で日本記録を樹立しています。ここまで実績が今シーズン出ているとなると、かなり調子が良いと思っていいのでしょうか?

TBSスポーツ局 白井杏子記者:
田中選手も「今シーズン序盤としては、今まで走れたことないような好タイムで走れている」と話していました。特に、5000m室内の記録は、前回の世界陸上ブタペスト大会の5000m金メダリストの記録よりも早い好記録で走れています。

そうした田中選手ですが、「まだ自分の中ではこれまで速く走れたことはない」と話しています。そう話すのも田中選手が「世界のトップオブトップに並びたい」という高い目標を掲げているからなんです。

高柳キャスター:
本来、田中選手は1500mや5000mが本職ですが、様々な距離の種目に挑戦しています。これは、世界のトップレベルを目指しているというのが大きいのでしょうか?

白井記者:
世界のトップでは、オランダのシファン・ハッサン選手が、この方法を実践しています。ハッサン選手は、数多くの種目に出場し、東京オリンピックでは5000m、10000mで、パリオリンピックではマラソンでも金メダルを獲得しています。

このように、田中選手は世界との差に対して、中距離に出場することでスピードを、3000m・5000mの長距離に出場することでスタミナ・ペース配分を身につけることを養っているそうです。

その中で田中選手は、“ラスト1周”をテーマとして、ラスト1周60秒を切るということを目標に、これまで練習しています。これは100mに換算すると約15秒ペースです。一般人が走ってもかなり難しいタイムです。このような過酷なことに取り組んでいる選手でもあります。

井上貴博キャスター:
中距離と長距離、さまざまな距離を走ることで鍛えられる、という理論はわかりますが、これを成しえてる所以は何なのでしょうか。

スポーツジャーナリスト・大阪芸術大学教授 増田明美さん:
やはり驚異的ですよね。お父さんと二人三脚でやっているということ、アメリカのグランドスラム陸上というところで場数を踏むこと、そういう日々の練習の賜物です。