小中学校9年間で12回の転校「世間のこと 何もわかんないなって」

木本さんが生まれたのは1955年。戦争が終わって10年、日本が戦後復興にまい進していた頃です。小学校、中学校時代は勉強が十分にできる環境にありませんでした。

父親の仕事の関係で、9年間の義務教育の間に12回転校したといいます。

木本さん「それでもう、全然勉強はついていけないわ、友達はできないわ…母も私に『中学校を卒業したら働いてほしい』ってずっと言っていたもんですから、『どうせ高校にもいかないなら』って、あまり勉強しなかったんですよね」

18歳で結婚し、44歳の時に離婚。30年以上福祉の仕事をしながら2人の子どもを育てあげました。しかし勉強をしなかった後悔は、ずっと心の中にとどまっていました

木本さん「子どもが成長していくにつれて…ああ、やっぱり勉強しとけばよかったっていう気持ちが、ずっと胸の中のどこかにあったんですよね。福祉のことはある程度分かるけれど、世間のことは何もわかんないなって」

そんな時でした。回覧板で夜間中学の体験授業の案内を見つけたのです。