アメリカとウクライナが鉱物資源などを共同開発する「復興投資基金」の設置を定めた協定に署名しました。専門家は「和平に後ろ向きなロシアに圧力をかける狙い」もあると指摘します。
アメリカ ベッセント財務長官
「本日、アメリカ・ウクライナ復興投資基金を設置するという歴史的な経済パートナーシップ協定に署名したと発表できることを嬉しく思う」
口論に発展した首脳会談から見送られていたものの、ついに署名にこぎつけた“鉱物資源協定”。
アメリカとウクライナの間で復興投資基金の設置を定めたもので、ブルームバーグ通信によりますと、基金を通じてアメリカはウクライナの鉱物や石油・天然ガスなどの開発プロジェクトへの権益を得るということです。
ウクライナのスビリデンコ経済相は、復興投資基金は資源開発などに投資するためのもので、両国が50%ずつ拠出して、共同で運営すると説明しました。
さらに…。
ウクライナ スビリデンコ経済相
「アメリカの基金への拠出は金銭に限らず、ウクライナへの防空システム供与など、新たな支援の形でも可能です」
アメリカの新たな軍事支援にもつながるとしていますが、ウクライナが求める「安全の保証」には具体的に触れられていません。
また、「ウクライナの債務の規定はない」としていて、過去の支援への「返済」を求めていたトランプ政権が譲歩したとみられています。
こうした姿勢に専門家は「トランプ政権がロシア寄りの姿勢から転換する可能性」を指摘しました。
明海大学 小谷哲男 教授
「ロシアに厳しく、ウクライナに対する支援の強化、ウクライナの利益を代弁するような立場を取っていく可能性は高まった」
そして、署名にいたった理由として、アメリカが、ロシアが停戦に前向きでないと判断していることをあげ、ロシアに圧力をかける狙いもあると分析しています。
明海大学 小谷哲男 教授
「ウクライナとアメリカの経済関係、これを強化することで、ロシアに対し、停戦協議に乗ってくるよう圧力をかけたいのだと思います」
一方、スビリデンコ氏によりますと、協定では「ウクライナの領土、および領海に存在するすべての資源はウクライナに属する」とされています。
資源はロシアの占領地域にも含まれていることから、ロシアがどのような反応をするか注目されます。
アメリカとウクライナが鉱物資源などの共同開発を柱とする協定に署名したことについて、ロシアのメドベージェフ前大統領は1日、「トランプ氏は、アメリカの支援をウクライナが鉱物資源で賄わざるをえないところまで追い込んだ」とSNSで指摘しました。
そのうえで、「ウクライナは消滅しつつある国の富で軍事物資の代金を支払わなければならなくなる」と述べたものの、協定自体への評価については言及しませんでした。
また、メドベージェフ氏はアメリカの上院がロシアに対する「破壊的な制裁」を科す準備を進めているとして、トランプ政権の対応を注視する姿勢を強調しています。
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