愛媛県松山市に事務所を置く塗装専門会社「匠PAINT」です。
塗装職人の西市匠さんが6年前に設立。主に住宅や店舗などの塗装リフォームを手がけています。
事業規模を拡大する中で、課題になっているのが・・・塗料の在庫管理です。

年間に使用する塗料は5トン以上。塗料は種類が豊富な上、現場ごとに使う種類が異なるため、仕入れた塗料を使い切るのは難しいと言います。
(西市匠社長)
「建材、部材によって塗る材料を変更しないといけないので、皆さんが思っているより、いろいろな種類の材料が存在している。下塗り関係は結構、次の現場、次の現場で使うことが可能だが、例えば原色のような赤とか緑とかいう客はなかなか頻繁にはでないので」

こうした中、処分する塗料を減らそうと去年から本格的に取り組んでいるのが、業務のデジタル化です。
それまで、塗料の仕入れは、職人の経験や勘が頼りだったと言います。
(西市匠社長)
「比較的ざっくり1缶あったら足りるだろうとかいったかたちで計算することもなく」

これを改めようと、施工前に現場で壁や屋根の寸法、材質を細かく調査、チェックシートを作成するようにしました。これをパソコンに入力。塗装する部分ごとに面積を計算、さらに、材質や使用する塗料を選択すると、自動的に必要な塗料の量を導き出すことができます。職人の経験や勘をデータ化し、計算式を独自に考案したのです。

(デジタル化担当・中尾和也さん)
「いかに経験といった見えないものを数字に落とし込むかがすごく大変でした」

今も試行錯誤を繰り返しながら計算の精度を上げているということです。

(デジタル化担当・中尾和也さん)「関数は企業秘密」
「匠PAINT」では、こうした取り組みによって塗料の廃棄量をおよそ1割削減できたと言います。

(西市匠社長)
「余分な塗料を注文しないということは、その分、客に還元できる。もちろん会社にも利益が残る。環境に配慮してSDGsに取り組むことを文書に掲げたりすることで意識が上がった」

「匠PAINT」では、SDGsの「住み続けられるまちづくりを」などの目標を掲げ、塗料の他にも養生資材の削減や環境に配慮した資材の活用を進めているということです。