■「心強いです」撮影当日も現場へ 俳優が安心して働けるよう…
ドラマの撮影当日も、俳優の元へ向かう浅田さんの姿が。
インティマシ―・コーディネーター 浅田さん
「失礼します」
やりとりはプライバシーに関わるので、撮影はできませんでした。
肌の露出度や身体の密着度など、俳優側がどこまで許容できるのか確認し、同意を得たことだけが撮影で行われます。

音川マチカ役 深川麻衣さん
「だいぶ心強いです」
インティマシ―・コーディネーター 浅田さん
「ほんとに?こないだ電話でゆっくり話して、いろいろね」
音川マチカ役 深川麻衣さん
「難しいですよね・・・」
大津慎司役 庄司浩平さん
「正直言って分からない。台本書いてあるところだけ見たら」
インティマシ―・コーディネーターは演出そのものに口を出すわけではありません。全員が円滑に、安心して働けるように“助言”する立場です。
この日、ホテルの部屋で行われたのは性的な描写があるシーンの撮影。
プロデューサー
「インティマシ―シーンになるので、モニター前は最少人数でお願いします」
部屋の中には必要なスタッフと浅田さんが入り、監督は別室でモニターをチェックします。

他のシーンの撮影では大勢のスタッフがモニターを囲みますが、インティマシ―シーンは「クローズドセット」と呼ばれ、最小限の人数に。これも浅田さんの仕事です。
■「全員がインティマシー・コーディネーター」の意識で
今、制作現場ではインティマシー・コーディネーターの必要性が高まっているといいます。
その背景にあるのが2022年、映画界で相次いだ性暴力の告発。これまでのnews23の取材でも・・・

俳優 睡蓮みどりさん(2022年4月)
「監督の指示は絶対というのが私の頭の中に当時はあったので…判断がつかないまま(性行為が)起こってしまった」
性被害を受けた俳優(2022年4月)
「今声をあげている人も本当に、被害を受けたうちの一握りだと思っていて・・・」
ドラマの制作現場でも問題意識が高まり、今回インティマシー・コーディネーターが入ることが決まりました。
俳優たちは、浅田さんの存在をどう感じているのでしょうか。

大津慎司役 庄司浩平さん
「納得がいく形でお互いに正直な意見を交わすことができたのかなと思った。男性のインティマシ―・コーディネーターさんもいたら嬉しい方も絶対いるだろうなと」
深井サワコ役 趣里さん
「現場に行って『え?そういうこともするの?』みたいなことが全くなくて。やっぱりそういうシーンって緊張感とかドキドキすることも、もちろんあると思うんですが、本当に心強くケアしてくれるので、色んな面でとても安心感がありました」
一方で、見えてきた課題もあります。

ドラマ『サワコ』 滝本憲吾監督
「全部の商業的な作品がそうなっているかと言ったら、そうはなってない。もっと母体の大問題の制作費とか、その辺がとれない現場もいっぱいある。全てのスタッフがインティマシー・コーディネーターぐらいの意識がないと。“みんながどう意識を持つか”なんですよね」
浅田さんも現場にインティマシー・コーディネーターが入ることで、働く人たちの「意識」を高めるきっかけを作れたらと考えています。
インティマシ―・コーディネーター 浅田さん
「(以前は)これ良くないんじゃないかなと思っても、言えない雰囲気があったと思うんです。ただ今は、ダメな事はダメだ、自分がそう思ったら言っていいんじゃないかという雰囲気に変わりつつあると私は感じているんです。確実に現場の雰囲気は、変わってきていると感じています」