極めて激しい乱婚型

研究チームは、個体識別した20ペアのコオイムシを約1ヶ月間、飼育ケースで自由交配させ、幼虫と親個体のDNA情報に基づく親子判定を実施した。

その結果、多くのオスとメスが複数の相手と交配しており、極めて激しい乱婚型の繁殖様式であることが明らかになった。

オスの父性(仔との血縁関係の度合い)の平均は約65%。個体によって10%~100%と大きなばらつきが確認された。

なんで「よその子」まで?

コオイムシのオスは、ときに100個を超える卵を背負う。卵塊を背負うと飛翔能力が落ち、捕食されるリスクが高まり、命をも脅かされる。

よって父育行動は「自分の仔である確信」がある状況でのみ進化すると考えられてきた。しかし、コオイムシが育てる卵の血縁関係は平均65%に留まっており、約35%は「よその仔」であることがわかったというのだ。

危険を冒してまで、なぜ「よその仔」を背負うのか?そこにはコオイムシ独自の、命を懸けた"モテ戦略"が隠されていた。