医療用の注射器およそ13万本を、覚せい剤の密売人に売り渡したとして、麻薬特例法違反(ほう助)や覚せい剤取締法違反(使用・所持)などの罪に問われている元臨床工学技士の男の裁判員裁判の初公判が25日、松江地方裁判所で開かれ、男は起訴内容を認めました。

起訴状などによりますと、京都府の元臨床工学技士の男(47)は、2020年2月から2021年11月の間、大阪市の男女2人が覚せい剤の売人であることを知りながら、27回にわたり、医療用注射器13万120本を宅配便で送り、計865万円で販売し、密売人の手助けをしたとして麻薬特例法違反ほう助などの罪に問われています。

25日の初公判で、被告の男は「間違いありません」と起訴内容を認めました。

検察側は冒頭陳述で、「被告は自己の快楽のために覚せい剤を使用した」、「被告が密売人に頼まれる前に業者に注射器を注文していたことや、注射器密売の売り上げの56パーセントが被告の利益になっていたことなどから、自ら進んで注射器密売を続けていた」などと述べました。

一方、弁護側は、被告が2018年に「突発性拡張型心筋症」の疑いがあると診断を受けていたことから、「被告は覚せい剤を強心剤として使用していた」とし、「被告は密売人に脅されていたため、断れず何度も注射器密売を続けていた」と述べ、量刑で争う姿勢です。

この裁判員裁判は11月2日に判決が言い渡されます。