島根県内の特殊詐欺被害では過去有数の高額ということです。
去年末から今年初めにかけ、松江市に住む60代の男性が、警察官や検事をかたる電話に指示され8200万円余りを振り込み、騙し取られていたことが分かりました。
島根県警松江警察署によりますと、去年12月20日、男性の携帯電話に警視庁捜査2課の八代(やしろ)を名乗る男から電話がありました。
八代は「兵庫県警が捜査している事件にあなた名義の口座が使われていて、容疑者として捜査対象になっている」として事件番号だというものなどを告げたため、男性は相手が本物の警察官だと信じ込みました。
八代の電話の後、すぐ兵庫県警捜査2課の坂井(さかい)を名乗る男から電話があり、男性に兵庫県警へ出頭するよう指示しました。
男性が断ると坂井は電話での捜査協力を求め、「あなたが持っている財産が犯罪収益ではないかを調査する。調査が終わったら資金は返金する」などと話し、検事の児玉(こだま)を名乗る男に電話を替わりました。
男性が児玉に自分の銀行口座や預金残高などを伝えると、指定するSNSのLINEアカウントに登録するよう指示されました。
この後はLINEの音声通話機能を通じ、調査に必要だと繰り返し現金の振り込みを求められ、男性は去年12月26日から今年1月16日までにインターネットバンキングで計18回、合計8219万円を振り込み騙し取られました。
振込金額は1回200万円から500万円で、一日に4回振り込んだ日もあり、相手は法人または個人名義の複数の口座をそのたびに指定していました。
最後になった1月16日の振り込みの後にも定期預金を解約して支払うよう要求されたため、男性が松江警察署に相談して被害が分かりました。
被害金額8219万円は、今年3月に明らかになった県東部の9804万円に迫る県内有数の高額被害です。
警察は、捜査のため現金を振り込むよう指示することはなく、「あなたが捜査対象になっている」などの電話があった場合はいったん電話を切って最寄りの警察署などに相談して欲しいとしています。