戦後80年プロジェクト「つなぐ、つながる」です。広島に原爆が投下された直後から、負傷者が押し寄せた島があります。そこでは、今も被爆者の遺骨が見つかっています。
嘉陽礼文さん
「可能性としては頭がい骨。人骨だと思います」
広島大学の研究員・嘉陽礼文さん(47)です。個人の活動として、被爆者の遺骨・遺品の発掘調査に取り組んでいます。
作業を進めている場所は広島市沖に浮かぶ似島です。似島には戦前、陸軍の検疫所が設けられていました。広島に原爆が投下された直後から、次々と負傷者が運びこまれてきました。
戦時中から似島で暮らす田中圭子さん(92)
「おばけみたいだった。恐ろしかったよ」
戦時中から似島で暮らす中見初子さん(87)
「倉庫にいっぱい運ばれてきたのを一目だけ、(こわくて)中には入れなかった」
似島に運ばれた負傷者は1万人ともいわれています。数えきれない遺体は島の防空壕や空き地に穴を掘って葬られました。
戦後直後から2004年までに多くの遺骨が掘り出され、供養されてきました。ただ、まだ掘り出せていない場所があると証言する住民もいました。
島で発掘を続ける嘉陽さんを見た住民が調査の依頼をしたのが、この場所です。2018年の調査では、100個以上の骨片が見つかりました。
しかし、直後の西日本豪雨で掘り進めていた現場も土砂に埋もれました。それでも少しずつ手作業で調査を続けています。
嘉陽礼文さん
「歯、永久歯。でも、子どもか。(Q.永久歯が生えていない)生えていない状況です」
見つかったのはあごの骨で、中にはまだ生え替わる前の歯が…。子どもで、未就学児の可能性があるといいます。
嘉陽礼文さん
「この子もかわいそうですが、親御さんの気持ちを…。子どもを殺していい理屈はない」
今回の調査では、頭やあごなど十数個の遺骨が見つかりました。
嘉陽礼文さん
「アメリカでは原爆を正当化する主張がいまだに根強いらしいが、理不尽な殺され方をして、ずっと苦しまなくてはいけなかったこの子の気持ちを考えてほしい」
被爆から80年。広島の街は復興を遂げました。しかし、あの日から止まったままの人たちがいることを忘れてはいけません。
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