交渉にトランプ氏出席 有権者・支持者にアピールする狙いか 日本政府は対応協議に追われる
小川彩佳キャスター:
トランプ大統領は、なぜ突然関税交渉に出席すると発表したのでしょうか。

ワシントン支局 涌井文晶 記者:
トランプ大統領としては、自らが交渉に出席することで日本側から譲歩を勝ち取り、アメリカの有権者、自らの支持者にアピールしたい狙いがあるものとみられます。
関税政策をめぐっては、先週から相互関税の一部を発動直後に撤回したり、スマートフォンなど電子機器向けの関税をめぐっても、扱いが二転三転したりと混乱が目立っています。
こうした悪いムードを払拭しようと、自ら日本側との交渉に出席することを決めたと考えられるのではないかと思います。
藤森祥平キャスター:
日本にとってプラスに考えるのは少し難しいような気がしていて、一段と圧力が高まりそうですが、どうなのでしょうか。
ワシントン支局 涌井文晶 記者:
日本にとっては、少し悪いサインではないかと私も考えています。トランプ大統領は、どんな課題についてもすぐに成果を出したがるところがあります。なので、日本側にも具体的な提案を求める可能性もあるのではないかと思います。
また、報道陣に対して、会談の冒頭が公開される可能性がありますが、トランプ大統領はテレビカメラの前でも発言を抑えることはしません。ウクライナのゼレンスキー大統領との会談でも発言を抑えなかったので、日本側に厳しい要求を並べることも覚悟しなければならないと考えます。
小川キャスター:
一方で、日本政府はトランプ大統領の突然の登場の動きを、事前に想定できていたのでしょうか。それとも完全に寝耳に水という感覚なんでしょうか。

官邸キャップ 中島哲平 記者:
日本政府側は今回、トランプ大統領が交渉の前に出てくるのは想定していなかったというふうに口を揃えています。
こういうこともあり16日夜、総理公邸に林官房長官や外務省幹部が続々と訪れ、石破総理と今後の対応について協議したものとみられます。
ある政府関係者は、今回、トランプ大統領が交渉の場に出てくることについて「カウンターパートの人がいるのに、外交儀礼上ありえない」と怒りをあらわにしています。
ただ、政府関係者の多くは、「トランプ大統領が何をしてくるのかわからないというのは想定内だ」と話しています。
また、自民党幹部の中には、赤沢大臣がアメリカを訪れる前に、「日米安保については一切話さないように」と釘を刺していて、赤沢大臣も今回、慎重な対応をして交渉を進めるものとみられます。