■円安の影響で、日本で働く外国人労働者に“日本離れ”の動き…
日本での賃金が世界と比べて低くなることは、日本に出稼ぎに来ている外国人労働者の収入にも打撃を与えます。最も多い45万人が入国しているベトナム人の労働者で考えてみますと、例えば、10万円を母国に仕送りして現地通貨のドンに両替した場合、去年ですと、2000万ドンになりましたが、今年は円安の影響で、およそ15%も目減りしてしまうのです。

ベトナム人労働者をサポートする一般社団法人日本アジア青年交流協会によれば、実質的に給料が減る事態を受けて「日本よりも他国で働くことを希望する人が増えた」と言います。
■1ドル=150円ラインは大きな境目
さらに、中国との関係でも、今回の円安のレベルは大きな意味を持つ可能性が指摘されています。中国と言えば、各国の企業が製造業の拠点を置くなど、かつては日本よりも圧倒的に労働者の賃金が安い国でした。しかし、この10年、中国の製造業の平均賃金は倍以上も上昇。逆に日本の賃金は、円安によって相対的に下がってきたわけです。

経済評論家の加谷珪一さんは、今回の円安、1ドル=150円のラインについて、「国ごとの生産コストを比べる指標でみると、中国と日本の賃金が逆転する」と指摘。そうなると、日本に来ていたベトナムなどの外国人労働者が、より高い給料を求めて中国へと流れる懸念があるといいます。
円安が過度に進むと、日本は、貴重な労働力を失う可能性もあるのです。
(「サンデーモーニング」2022年10月23日放送より)














