「パンチェン・ラマの悲劇」は繰り返したくない

チベット仏教では、ダライ・ラマの死後、後継者は「生まれ変わり」を探す伝統があります。しかし、中国政府が自分たちに都合のいいダライ・ラマを勝手に擁立して、チベットの統治に利用するのではないかと懸念されているのです。
実際、中国政府は1995年に亡命政府側が認定したダライ・ラマに次ぐ高僧「パンチェン・ラマ」の生まれ変わりを連れ去った上、代わりに自分たちに都合のいい人物を後継者として擁立した過去があります。

チベット亡命政府 ペンパ・ツェリン首相
「中国政府は次のダライ・ラマを重視しています。なぜなら、次のダライ・ラマをコントロールできれば、チベットの人たちをいとも簡単に支配できると思っているからです。私は中国政府に言いたいのです。あなたたちは永遠に続く頭痛の種を持ち込みたいのですかと」
「パンチェン・ラマの悲劇」は繰り返したくない。そのためチベット亡命政府は、ダライ・ラマが90歳になる2025年7月に、自ら後継者について判断を下す可能性があるとしています。

中国で暮らすチベットの人たちは、どう思っているのでしょうか?
中国国内で暮らすチベット族
「彼が亡くなっても、次のダライ・ラマがいます。亡命政府が選ぶ人が、次のダライ・ラマなんです。中国政府に選ぶ権利はないのです」
ダライ・ラマが中国を去って半世紀以上。中国で暮らすチベット族の人たちの多くは、ダライ・ラマを実際に見たことがありません。そのため、若い人からはこんな意見も聞かれました。

中国国内で暮らすチベット族
「多くのチベット族の中にチベット仏教は深く根付いています」
Q.中国のチベット族はダライ・ラマがいなくても…
中国国内で暮らすチベット族
「中国のチベット族は信仰を持ち続けることができるのです」