アルバモス大阪 銘苅淳 監督「尊敬する恩師がいて、でも恩師を見ちゃいけない。“師を見るな、師が見ているところを見よ”。この人がどこを見てハンドボールをしているのか、ここをこうやってみないとやっぱりこの人の偉大さはわからないし」

自身のコーチング理論を熱く語る、浦添市出身でハンドボールの元日本代表、銘苅淳監督(40)。

今シーズン、トップリーグのリーグHに加入した新チーム、アルバモス大阪の監督を務めています。

――監督就任の理由は?
アルバモス大阪 銘苅淳 監督「歴史のあるチームにポンと入るのもすごくいい経験ではあるんですけど、本当にゼロからやるっていったら、今の指導者の何人が経験しているかって話だし、新しいチャレンジが面白そうだなって思ったというのはありますね」

琉球コラソンとのリーグ戦。黄色の大阪は東京オリンピックの日本代表、徳田廉之介など、4人のプロ選手を擁しますが多くは大卒ルーキーなど若手が中心。練習場所も日々変わる状況です。試合前、そんな選手たちに語ったのは…

アルバモス大阪 銘苅淳 監督「選手としてのプライドを持って目の前の選手に負けない、全部勝てって言っているんじゃない、目の前の人間に負けない、それが一番大事だから。よくやってるって思っている反面、もっとやれよって、まあまあまあ、親心ですよね。“這えば立て、立てば歩めの親心っていうでしょう。ハイハイしたら、できたねって言っているのに、はい立ってごらんって言うしね。立ったらたったで歩いてごらんっていうしね。そんなもんですよね、そこで満足してしまったらだめなので、やっぱりちょっとだけ高い目標を常に提示してあげるって言うのは大事で」

選手時代はハンドボールの強豪、ハンガリーに渡り日本人初の得点王に輝く活躍を見せた一方、所属チームの破産など競技の酸いも甘いも経験した銘苅監督。

アルバモス大阪 銘苅淳 監督「人生は移動距離で決まるからね、どこまでどれだけ行っているかだから、自分の意志で。だから、あちこち行くいろんなところを見に行く、その行動半径が思考半径を広げるし、思考半径が広がったそれがベースになって自分の世界観が作られるわけだから、その世界観が自分の生き方を決める」

――熱いですね。
アルバモス大阪 銘苅淳 監督「全然、普通ですよ、普通、普通だから(笑)僕が一番普通ですけどって、これは貫いている。やりたいことやって言いたいこと言ってますけどって。あなたはどうですか?って。他人のことを気にして自分の行動を制限してませんか?それ普通ですか!?ってめっちゃ言っている」

そんな銘苅監督の恩師が、現在琉球コラソンを指揮する東江正作監督なんです。

アルバモス大阪 銘苅淳 監督「東江正作なくして銘苅淳はいないので、沖縄の東江正作・功子夫妻がいて、僕はハンドボールやっているので。本当に僕がハンドボールを始めたその瞬間から“おまえは世界では小さいんだ”って言われるし、お前は日本のためにやれっていうし、日本代表をめざせって言われたことは一回もないし、でも日本代表になれ・めざせと言われたことはないけど、“世界をめざせ”とは言っているし、そういう意味で世界観を広げる。こんなに中学生にエネルギーをかけて毎日練習を見てくれたなんてスゲーなと思って、だからあの熱量と比べて今の僕はどうだろう、劣ってないか、あの時の東江正作を超えられるかなとかと思いながら」

師弟対決となった試合は、東江監督率いる黒のコラソンがリードする展開。
守っても、コラソンのキーパー島袋 翔が好セーブを連発。大阪は得点できません。

後半大阪は、攻撃時にゴールキーパーを下げフィールドプレーヤーを増やす7人攻撃を仕掛けますが、徳田のシュートはバーにはじかれ、コラソンがエンプティゴール。最大6点ビハインドとなった大阪。

アルバモス大阪 銘苅淳 監督「パスして切っていく、ボールを持っていない人間が切ってもいいし何してもいい、ただ弱いプレーはしない、弱いプレーを。OK?」

ここから、大阪の反撃が始まりました。

アルバモス大阪 銘苅淳 監督「ゴールキーパーのリズムを崩さないといけない、だから頭の上を打ってこい、股下を打ってこいっていって、中心線を攻めてゴールキーパー自身のリズムを崩すのが大事だよっていう戦い方を整理したのが大きかったと思います。やろうとしていることに固執してしまうと本質的なものを見失ってしまうので、今こういう状況だからこうしようねっていうところだけ整理して、あとは選手がコートで解決してくれたって感じです」

大阪は7連続得点でついに逆転。この後シーソーゲームになるも、しのいだ大阪が1点差で勝利しました。

アルバモス大阪 銘苅淳 監督「ホッとしたという気持ちと、全然まだまだ満足できない気持ちと複雑ではありますけど、結果としては勝てたので、その部分に関しては選手が最後頑張ってくれたと思います。今シーズンに関しては残りの試合全部勝ちにいく。やっぱりやりきる、乗り切る、われわれの形を出し続けることにフォーカスして、そしたら結果はついてくる気がするので」

――銘苅監督の原点は東江監督と言っている。
▼琉球コラソン 東江正作 監督
「うーん、もう超しているでしょう。いつまでも東江だということではなくて、銘苅の独自性を出してきていると思うんですよ」

――(今後も)強敵になりそう?
▼琉球コラソン 東江正作 監督「いや、ならないといけないでしょう」

自身のコーチング理論を磨き、選手、そして子どもたちにハンドボールの魅力を伝える銘苅監督。しかし実はまだまだ語っていたんです。

銘苅:「ハンドボールは手段だから、いつも思っている」
下地リポーター:「もう一時間しゃべった(笑)後半の30分、私質問してないですからね」
銘苅:「あふれ出るから(笑)この手のトーク得意技だから、でもさ、コーチングの話なんか、あまりする機会ないさ、だから、ここぞという時にじゃべらないといけない(笑)」