仙台市の中心部商店街で創業76年の老舗金物店が10月で閉店することになりました。戦後直後から仙台の発展を陰で支えてきた老舗の閉店に、惜しむ声があがっています。

■商店街の「本物志向」の金物店

仙台市中心部のハピナ名掛丁商店街の中にある「たかしょう金物本店」。今月で閉店します。常連客からは惜しむ声が聞かれました。


40年来の常連:
「知っている人は来るのよね。凄く寂しい」


1946年、太平洋戦争の空襲で焼け野原になった名掛丁で創業。

当初、商店街のテナントの内装の金物を扱い、仙台の戦後復興を陰でを支えてきました。


平成に入るとデザインや機能性・耐久性などを重視する“本物志向”の食器や、調理器具などを取り揃える専門店に転換。宮城県内外の常連客から愛されてきました。専務の高橋不二子さんです。


高昌金物 高橋不二子専務:
「本物志向でいこうということで、デザイナ―と一緒に見に行って、やる限りは本物、鍋ひとつにしても、おたまひとつにしても本物でないとだめ」


“本物”を探し求め、高橋さんは北海道から九州までの窯元や陶芸作家に足茂く通い独自のルートで買い付けてきました。さらに市内50以上の料亭など飲食店に出向き料理に合う器などを提案してきました。


高昌金物 高橋不二子専務:
「アドバイスすることで店も繁盛する。このお店のカウンターだったら、こういう皿がいいと提案したら、客に喜ばれうれしい」


「たかしょう」の器を愛用してきた店のひとつ、一番町にある明治創業の老舗そば店「さん竹」。

店主の大田仁恵さんは、高橋さんについて、仙台の飲食業界の発展を陰で支えた稀有な「商売人」だったと言います。