なぜ「スマートストア」が3店舗一挙に誕生したのか?

これらの店、実は「去年10月にできた1号店を存続させるものだ」といいますが、一体どういうことでしょうか。

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(吉縁起村協議会 鈴木昌徳会長)
「『スマートストア』というデジタル化を推進することで、買物支援だとか、そういった利便性を向上するっていうのが、一番の目的だったんですね」

1号店がある、真庭市の吉地区です【画像⑤】。約150世帯が暮らしていますが、住民の6割は高齢者だといいます。

(吉縁起村協議会 鈴木昌徳会長)
「南に17キロ、北に17キロ運転しないとコンビニエンスストアがないんですよ…」

この地区には商店などがほとんどないため、住民は買い物をするために車で1時間以上かけて出かける必要がありました。

そんな中、こんな声が…

(吉縁起村協議会 鈴木昌徳会長)
「実は『この地域にコンビニがほしい』と言われたんですよ。ところが、コンビニがなかなか我々も導入できなくて…」

【画像⑥】

人口が少ないため、コンビニの誘致は難しい…。

そこで、人件費を最小限に抑えられるスマートストアに目を付け、自分たちの手で事業を行うことにしたのです。

住民たちのニーズに応えようと、店内に欲しい商品を書き込めるホワイトボードも設置しました【画像⑦】。評判は上々でしたが、営業を続けるうちに、課題が見えてきたといいます。

【画像⑦】

(吉縁起村協議会 鈴木昌徳会長)
「地域住民の数も少ないですから、思ったほどの売り上げはないんです…」

一か月間の売り上げの平均は4万円ほど。しかしシステム管理に5万5千円かかるため、どうしても赤字になってしまうのです。

とはいえ、スマートストアの目的は、吉地区の買い物支援です。赤字だからといってやめるわけにはいきません。

「収入が見込めそうな店舗」を作り、赤字を補う!

そこで、収入が見込めそうな駅の構内や市役所などに出店し、1号店の赤字を補おうと考えたのです。

(店を利用した真庭市職員)
「真庭全体で『吉』を盛り上げていくために携わっていけるというのは、いい取り組みだと思うので、これからも応援していきたい」

「吉地区の魅力を発信する場にもなれば」と、それぞれの店舗では地区の特産品で、葉や茎も食べられるサツマイモの一種、スイオウの加工品も販売しています【画像⑧】。

【画像⑧】

(吉縁起村協議会 鈴木昌徳会長)
「(今後も)地域の皆さんの福祉向上に役立つような活動をしていきたいと考えています」

真庭市に誕生したスマートストアです。買い物が困難な地域のために…住民たち自身が模索を続けています。なお、吉縁起村(よしえんぎむら)協議会によりますと、3月の4店舗の売り上げは黒字だったということです。