いまから20年前、2005年の台風14号で大規模な土砂崩れが発生した宮崎県椎葉村。
地域住民らが復興のシンボルとして植えた桜が咲き誇っています。
(この記事は動画でご覧ください)

厳しい冬を越えた椎葉村に桜の季節が訪れました。村の中心部にある、こちらの桜も見ごろとなっています。

平家さくらの森。ここは、地元の人たちにより作られた場所です。

(住民)
「こどもたちもけっこう来たりするので、いい場所。花見とかしたいです」

今は、地元住民の憩いの場となっているこの場所ですが・・・

(東 成海さん)
「そこに建屋がある、そこ辺りまで土砂が流れた、上の方から土砂が流れてきてそして災害に遭ったということですね」

(記者:ヘリからのリポート)
「今回の台風14号でも多大な被害が出ています。村の面積の96%を占める美しい森林が無残な姿となっています」

県内を襲った台風14号により、椎葉村の中心部で大規模な土砂崩れが発生。旅館など7棟が土砂に飲み込まれ、3人が犠牲になりました。

台風の被害から4年後、災害跡地を花の名所にしようと、村の異業種グループ「まつぼり会」による活動がスタート。

村内で自動車整備工場を営む、東 成海さんは、当時、会長として、取り組みました。

(東 成海さん)
「(台風から)4年後になりますけど、計画して『まつぼり会』っていう組織があったので、その中で皆さんと相談して、復興事業として。やっぱりヤマザクラがいいでしょうということでですね」

植樹祭には、村民およそ300人が参加。
災害復旧工事が完了した斜面に、エドヒガンザクラやドウダンツツジの苗木を植樹しました。

(東 成海さん)
「当時のことは、この花が咲くと特に感じたりしますよね」

台風被害から20年・・・
この場所は、さくらの森に生まれ変わりました。

(東 成海さん)
「下刈り作業なんかする時にも、やっぱり『もう何年たったよね、しっかりした森になったな』と話すんですけどね。年輪っていうか年が経つと、こうしてしっかり成長して皆さんを癒してくれますからね」

(訪れた人)
「きれいになって、椎葉村がこれからどんどん、なんか雰囲気いいですもんね、道中がすごくサクラが全部咲いていて、とてもよかったと思います」

そして、森の入口には、こんなサクラも・・・
(※村を訪れた秋篠宮殿下がお手植えされたサクラ)

(東 成海さん)
「こういう事業があってるんですけどっていうことだったら、もう快く秋篠宮殿下が引き受けてくれて、私が手袋をさしあげた思い出があるんですね」

今では、この森を将来に残していきたいと考える若い世代も出てきています。

(椎葉昌史さん)
「せっかくここにさくらの森があるから、もっといっぱい人に来てもらえる可能性はあるなと思うんです。生かしていくのは、すごい大事なんじゃないかなっていう、勝手に思っています」

近くで飲食業を営む椎葉昌史さん。
今後、地元の子どもたちと共にサクラの植樹を続け、この森を、さらなる名所にしたいと計画中です。

(椎葉昌史さん)
「すごい取り組みだと思うんですよね、だから、僕ら世代もやっぱりそういった世代から引き継いでこういったものを次の世代につなげていかないといけないのかなというのは、すごい思いますね」

復興のシンボルとなった平家さくらの森。

(東 成海さん)
「順調に成長して森になったなっていうのが実感ですね。災害があることは本当に悲しいことだけど新しく、こうして新しい森が出来上がったってことは、それでいいんじゃないですかね」

(スタジオ)
椎葉村は、ここ数年の台風被害の爪痕もまだまだ残る中なのですが、この「平家さくらの森」の桜のように復興の証として残っている花を毎年咲かせていくというのは本当に力強いなと感じます。
桜の次に今度はツツジも花開くと思いますので、楽しみです。

※MRTテレビ「Check!」4月2日(水)放送分から