「すごいの彫れた」。
島根県松江市で印鑑の製造販売を手掛ける会社がツイッター投稿した1枚の写真が大きな話題を呼んでいます。
1円玉より小さい、直径1.2センチの印鑑に彫られたのは、なんと87文字。
職人たちが限界に挑戦したのには、ある理由がありました。

永江印祥堂のツイッター


「すごいの彫れた」
ツイッターに投稿された1枚の写真。
一般的な銀行印サイズの印鑑に、なんと87文字がびっしり彫られています。
印影には、こんな文字が…

「こんにちは。島根県にある小さなハンコ屋が1.2センチの印鑑の中で限界の文字数に挑戦しています。今回は87文字に挑戦。しっかり読めていますね!これが職人の技術なんです!すごいでしょ」


印鑑は1円玉より一回り小さい直径1.2センチです。

作ったのは島根県松江市にある永江印祥堂。
12日にツイッター投稿してから18日までに22万以上の「いいね」がつく「大バズり」となりました。


「これが例のあの印鑑です。ははは」
笑顔で実物を見せてくれたのは、取締役の福間敏之さんです。


永江印祥堂 福間敏之 取締役
「個人の印鑑だけでなくて会社の印鑑も彫っているので、細かい字は見慣れていましたが、ここまでの印鑑を彫ったことがなかったのでビックリしました」

近年では会社印も、部署名まで入れた30文字以上のオーダーが珍しくないと言いますが、ツイッター担当者、いわゆる「中の人」は、ここに注目しました。

「脱ハンコ」という言葉も生まれる逆風の中、職人の高い技術を全国に知ってもらおうと、社運をかけた87文字の印鑑製造を思いついたのです。

永江印祥堂 福間敏之 取締役
「今回の我々の核は、ツイッターを使って技術を拡散させて伝えさせていただいたというのが重要なポイントです」

実物の印鑑を確認してみると…


木谷茂樹 記者
「うわー、すごいですねコレ!正直何を彫っているのか、この状態では分かりません。スマホのカメラで撮影しようとしても、全然ピントが合いません」


製造リーダーの村尾さんも、出来栄えを確認するには、専用のメガネをかけなければ見えないということです


気になる製造過程ですが、こちらは撮影NG。
ただ一番苦労したのは文字の配列の調整で、印鑑を彫る針やそのスピードの調節など、試行錯誤を繰り返しながら、職人6人がかりで完成させたそうです。

さらに、この印鑑。大反響によりオンラインショップで限定販売が決定(税込5500円)。文章は永江印祥堂のPRにも関わらず、すでに購入した人もいるそうです。


永江印祥堂 福間敏之 取締役
「脱ハンコの流れで、ハンコには悪い印象やイメージがありましたが、我々は技術や材料にこだわってやっています」

脱ハンコという逆風の中、職人の技術と、社運をかけた「中の人」のユニークなアイデアが、人々に驚きを与えています。